1.例えばと未来の話
例えば、だ。
30歳になった自分を想像する。
具体的に、じゃあない。そんなものは勝手に100年カレンダーでも買って未来予想図でも聞きながらやればいい。
30歳の自分が結婚しているかどうかなんて、予想したところで意味がない。
ではもっと面白いことをしよう。
30歳の自分になったつもりになる。
私の言う、「30歳になった自分を想像する」というのは、つまるところそういうことだ。自分が今30歳だと思って物事を見てみる。不可能だと思うだろ。不可能だ。けれど想像だから、私たち本を読む人、書く人。創作となにかしら関わっている人間の得意分野だ。想像、妄想、馬鹿にされても結構。
というつもりでやってみてほしい。
もし、自分が30才だったら。
例えば、今の私は好んで学園ものの小説を読まない。あえて避けているように感じるときもある。何故か。自分が学生だからだ。つまらない。高校生が、高校生の日常を本で読んで面白いか。まったく。面白くない。
では30歳になったら。
むしろ今読んでいる、オフィスを舞台にした小説も、結婚生活を舞台にした小説も全く興味がなくなっているかもしれない。むしろ学園もののべたな恋愛小説なんかを好んで読んでいるかもしれない。昔はこんなんだったな、なんて私自身の高校生活にはありもしなかった恋愛話をさも懐かしむように読んでいるんだろう。それも、自分より一回り以上下の高校生が書いた恋愛小説なんかだとすると、それはそれで想像もしたくない。けれど面白い。
小話としてもう一つ、最近、もう少しで卒業だと、学校生活を美化して憂うことが増えた。友人と、寂しいとは言わずもしみじみとした話をして。途中で本当に悲しくなってやめよう、とどちらかともなくいうのだ。
そういうときにも、この30歳になったら、は面白おかしく自分の頭の中で登場する。
30歳になって、もしこの友人と再会した時に、そういえば卒業式前に「卒業は嫌だなあ。」なんて話をしたなあ、と懐かしむことがあるかもしれない。その時に一緒に思い出すかもしれない。そういえば、その話をしながら私は頭の中で30歳になったら、なんていう例えばの未来の話を考えていたな、と。そうして思い出す、18の冬ごろにはまっていた小説家まがいのエッセイ集にそのことを恥ずかしげもなくありありと書いたな、と。
未来の話は面白い。
未来の話をしている今この時が、未来の自分が話しているときのネタになるのかと思うともっと面白い。
例えば。この癖はなおせそうにない。
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