第3ー1章 ~どうすればいいですか?~

「うっ…ひぐっ…」


「だ、大丈夫?」


居酒屋の5番の机には泣いている女性とそれを心配する美人がいた。




――――


ビールをがぶ飲みする優香。


「ぷはー!…あれ?雅?」


ビールを飲み終わった優香は俯いている雅を見て首を傾げる。


「あ、ごめん…」


「どうした?そんな顔しちゃってさー?」


優香は心配そうに雅を見た。


「いや、あの、なんか、優香さん、本当に美人だなぁって。」


雅が言うと優香は頬をあからめ、


「えっ、そう?」


と照れた。


「うん。皆に人気だし、必要な存在だし、本当、いいなぁ。」


雅は優香から視線を外し、斜め下をみた。


「必要な存在っていうのは雅だってそうじゃん!」


優香は雅の手をとった。


「それが、違うんですよね。」


「…なにが言いたいの?」


優香は少し困った表情をした。


「つまり、私は琴南ちゃんと優香以外には視界にも入れてもらえない。」


「ッ、そんなことな…!」


「あるから私はいつも独りなの。」


雅が優しく微笑むと優香は黙ってしまった。


「…じゃあ、どんな風になりたいの?私、協力するから!」


優香が聞く。


雅は顔をあげた。まるで「え?」とでも言うような顔で。


しかし雅はまた、俯いてしまった。


「え、雅?」


よく見ると雅が泣いているではないか。


優香は慌てた。


「えっごめん、なんか傷つけた?!えっとぉ…」


「ごめん。」


「えっ?」


雅は涙の溜まった目で優香を見る。


優香は雅のその顔がとてつもなく綺麗だと感じた。


「なんか、嬉しくて…」


雅は嬉し泣きをしていた。


「そっか。じゃ、任せて!」


優香は胸を張ってドヤ顔した。


「まず、どんな風になりたい?例えば『友達を増やしたい』とか。」


優香は雅の顔を見つめた。


すると雅が口を開く。


「…たい」


「んー?」



雅の口から出た言葉。



それは。





「...認め、られたい…です。」




だった。

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『Fascination』 めーぷるまかろん @chisafujisawa

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