第8話 角材と換気扇とカーテン、あとマグカップ
黒く汚された角材
作りたての油を塗った換気扇
霞んだ新品のカーテン
それらはきっと 誰かの演出で
あくまで想像された汚さで。
僕はまだ本物の汚れを知らない。
本物の汚れ方は
じわじわ消えていくのではなく、
急に汚れてしまったり、
欠けてしまったり、
かえって不自然な、そんな汚れ方かもしれない。
たしか、ぼくのマグカップは、2か所のふちが、小さく欠けていたんだっけな。
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