第2話 勇気は一瞬、後悔は一生

不思議な彼女の去った後の階段には人が降りた後のように桜の花びらが続いて落ちていた。


僕はその桜の花びらの後を辿って階段を降りていくと、花びらは3階のフロアまで繋がっており図書室の自動ドアの前で途絶えた。


こんな事して大丈夫なのか、もしかして僕がしてる事ってストーカーじゃ…いや!これは違う!

僕は自分に変な暗示をかけて前へと背中を押した。


僕は途切れた花びらの上に立ち、僕に反応した自動ドアがモーター音をきかせゆっくりと開いた。


いつ見ても飽きない光景、一歩中に踏み出すと本のあの落ち着く香りに加えて前までの僕は知らなかった珈琲のほろ苦いオトナな香りが互いを強調しあいながら丁度良いバランスで図書室に漂っていた。


僕はいつも優しく迎えてくれる図書室のおばさんに挨拶をして図書室の奥にある読書スペースへと向かった。


僕よりも背高な本棚の森を抜けるとそこには窓際に作られた読書スペースがあった、太陽の光に照らされた白く薄いカーテンが春風に吹かれて優しく舞っている、その風は遅れて僕の元にもやってきた。


この香りはどこかで香ったことのある香りだが思い出せない、でも何故だろうか胸がなんだか騒ついて落ち着かない、すると大きく春風に舞っているカーテンから1人、人の姿が見えた。


それはもう僕には一目で分かった。


白のワンピースに長く美しく靡く髪、高くもなくまた低くもない身長…そして僕の眼に映る彼女はモノトーンなんかじゃなく鮮やかに映っている。


そう、そこには確かにあの不思議な彼女がいた。


どこを向いているのか、何をしているのか、どうやって話しかけようか…僕の頭の中は1人の相手のためにドタバタの緊急の脳内会議が起きていた。


もしかしたら次はもう無いかもしれない、勇気は一瞬 後悔は一生だ、このわからない感情を伝えるとしたら


「あの!」


静かな図書室に響いた一声は当然彼女の耳にも届いた。


声の元の僕に顔を向いてくれた彼女は私?と言うように人差し指を自分に向け首を傾げた。


・・・か、可愛い。。。


どこの思春期の中学生かっ!

のろけた自分にツッコミを入れて僕は初めてきた彼女からのコンタクトに慌てて首を縦に振って応えた。


彼女は僕のオーバーなリアクションにニコッと笑みを浮かべてくれた。


そんな彼女に次なる一手を出さなくては、次に出す言葉は僕の中ではもう決まっていたが何かが僕の中で足を引っ張る。


一呼吸置いて邪心を振りほどき高鳴る心臓の音と素早く波打つ脈拍のピークはもう最大となった時、


僕はもう我を忘れて1人の彼女のために100%の気持ちを伝えた









「一目惚れしました!!」


























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無色パレットに何色を 文野ねむ @L96

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