県境

 銀のしずく 朝露に溶けていく

 まだ明けきらないその風景を

 トラックの窓 寝惚けまなこで眺めてる

 

 山の中の道 手当たり次第の自然

 僕らが本来踏み入れてはならない場所

 そこをありえない速さで駆けて行く


 幾つものトンネルを抜け違う風に出会う

 冷たい風が頬をつねっていく

 眼前に広がる道は地図では同じ名前だけど

 僕のよく知る懐かしい色とは違って見えた


 ビルの沢山建つ風景はそしてどれも同じに見えて

 いつも買う物はどこでだって手に入って

 道端の小さな花の名前に気付かなくて


 道は今日もどこまでも車たちを運んでる

 この流れはずっとずっと続いてる

 ただ通り過ぎていく瞳の中にこの風景は

 日常風景の一部として残っていくのだろうか


 ただの他人として昼の間だけのここの住人

 見上げる空にだって違和感を覚えてる

 でもその新鮮さが逆に楽しかったりもする


 ほら 風が少し優しい

 もうすぐ僕らの街にも新しい季節が…

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