第四話
借金をしてから僕の人生は180度変わったんだ。
友達はいなくなって、先生も心配してくれている感じだったけど、陰で本当は迷惑だって他の先生に言っていたりして僕の味方は家族しかいなかった。
その家族とも話す機会がどんどん減っていき、僕は孤独だった。
そんな借金だらけの僕なのに花咲さんは話を聞いてもなお、友達でいると言った。
気付いたら、庭が歪んで見えづらくなっていた。
花咲さんは僕を見た後、何も言わずに座っていてくれた。
どうして泣いているのかも分からないはずなのに知らないふりして空気を読んでくれた。
それがただただ嬉しかった。
僕は泣き顔を見られないように下を向いて、泣かないよう必死に堪えた。
でも感情は溢れてくるばかりで蓋を閉じることなんてできなかった。1度落ちた雫はせきを切ったようにとめどなく落ちていった。
たった数分だったと思う。それでも僕にとっては長かった。
好きな女の子になんて泣き顔を見せたくないから。
ようやく泣き止んだけど、雰囲気的にこのまま話すことは憚れた《はばかれた》し、鼻声で話したくもなかったので中に入った。
中に入ると、お父さんとおじさんで意気投合でもしたのか大笑いしながら話していた。
そんな顔は久しぶりに見た気がする。
ようやく、貧乏だけど普通の生活に戻れたんだと思って安心した。
「よし、じゃあ帰るか」
「では、絆くんもまた家に来るといい、いつでも大歓迎するよ。もちろん前田さんもね。」
二人ともにこやかに言った。馬が合ったのかな。
「失礼しました、絆帰るぞ。ほら挨拶して」
お父さんは手を前に出して急かしてきた。そんなに急かさなくてももう高校生なんだからそれぐらいできるよ。
「失礼しました。花咲さんまた今度」
僕たちは手荷物を持った。そして部屋を出ようとしたら花咲さんたちも自然に来た。
「見送らなくても大丈夫ですから」
「いえいえ、見送りますから。……あっそうだ、心、明日絆くんと遊びにいったらどうだい」
「お父さんちょっとそれはまだ早いから」
花咲さんが少し顔を赤らめて言った。たぶん僕も顔が真っ赤というわけではないけど少なからず赤いと思う。
「おお、それはいいな。絆、一緒に遊べばいいじゃないか」
「絆くん明日遊ぼ」
もう躍起になったのか花咲さんまで言ってきた。
これはもう逃げる手段がない。
「分かった、明日花咲さんの家に行くから待っていて」
僕はこれからどうしたのか覚えていなかった。
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