第21話 ホウシャセンチリョウ



また、違うところに来た。


でも、においでわかる。

ここもびょういんだってこと。


いるひとたちも、みんなしろいの着てる。


ママは僕の入ったきゃりーを、横において、待ってる、呼ばれるのを。


パパはまた、モンシンヒョウをカイテル。


なんかいか見たけしき。


「リオちゃん、どうぞー!」


僕のなまえが呼ばれて、きゃりーごとつれてかれる。

これも、もう、ヨクアルコト。


しんりょうしつにはいると、いっぱいひとがいる。

これも、もう・・・


「よろしくお願いします。」


たかいとこに乗せられる、僕。


「おっきいねぇ~~~!」


「リオちゃんですね、前の病院から病状はうかがってます。」


「放射線治療との希望と言うことでよろしいですね。」



ホウシャセンチリョウ・・・って、ナンダロウ。


まだそのせんせいは、やわらかく笑いながら、

パパとママにおはなししてる。




「そうですね、病名は鼻腔線がんと言います。

 まず毎週1回、4回に分けて放射線治療します。

 あくまでもこれは一般的な例ですが。

 猫ちゃんだと、生存期間の中央値が、だいたい400から450日です。

 この治療を受けてから、最低1年間は、同じ治療をすることはできません。

 最大の副作用だと、この位置ですと、100%右目は視力失います。

 ただ、猫ちゃんの場合、視力よりも嗅覚のほうが発達してます。

 ですので、視力失っても、それほど感覚は変わることはないと思われます。

 それと、この位置に放射線浴びせるため、

 中の腫瘍は小さくなっていくと思われますが、

 術後に鼻血が出る可能性も十分あり得ます。

 これ、あとで読んでおいてくださいね。」



そういって、パパとママにわたされたカミのタバ。



「それでは、お預かりして、麻酔注射後の放射線となります。」



パパ。

ママ。


イヤだよ。


おねがいだから、おうちにかえしてよ。


またチュウシャされたら僕、眠くなって寝ちゃうんだ。


こんどこそパパとママにオイテカレル。


そんなのイヤだよ、おうちにかえりたい。


「どうかよろしくお願いいたします。」


パパ!

ママ!


ふたりがどあのむこうに行っちゃう。


どあのむこうから、パパとママの声が聞こえる。


「やっぱり鳴いてたね。」


「何回麻酔受けても、やっぱり怖いんだろうね。」


「でも、私たちにできることは、これくらいしかないから・・・」



ママ!

パパ!


僕を置いてかないでよう!


「さ、リオちゃん、それじゃ治療するからね~」


チリョウってナニ!


僕、かえるんだから!


言っても言ってもそれはやっぱり聞こえないみたいで、

そのうちまたあのイタイチュウシャってものをされるんだな、

って、僕は思った。

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