第15話 「広っ!」

ある日僕は、またガタゴト、クルマにユラレテ、

だいがくびょういんにツレテカレタ。


ママとパパはもちろん一緒。


セドはやっぱりオルスバン。


「あたしもさ、毛がなくなっちゃったりしたけど、アンタもタイヘンよね。

 まったく、追いかけっこもできやしない。

 早くそのダイガクビョウイン、ってとこに行って、とっとと良くなってよね!」


セドは相変わらず、いっけんキツイコトを言う。

でもそれって、愛情の裏返し、ってこと、僕にはわかってるから。


「セドは相変わらずのツンデレお嬢だねえ。」

って、ママもパパも言ってるし。


クルマにユラレテついた先は、今までのせんせいがいたところとだいぶ違った。


「広っ!」


「まあ大学内にある病院だしね、

 重い病気の子がみんな紹介されてやってくるんだろうね。」


僕とママとパパの乗ったクルマは、セイモン、っていうところを通って、

くねくね曲がりながら、モクテキチについた。


ついたら、僕も思ったよ、デッカイトコ!


いろんなのがいた。

へんなのくっつけてるのとか。


よろよろ立って歩いてるけど、それがせいいっぱいだってのもいた。


「やっぱりわんこが多いねえ・・・」


「7~8割わんこかね、あとはぬこだね。」


「車いすの子もいるんだね。」


ママがショウカイジョウを持ってって、モンシンヒョウをパパが書いてるとき、

いろいろ言ってたコトバ。


いつも僕がいるところは、ぽかぽかしてて、おふとんがあって、

ハコもあって、がりがりしてもカワリノハコといつのまにかかえられて、

そういうとこだった。


どうして僕、こんなところにいるんだろう?


そのうちモンシンヒョウを書いたパパが、ママに渡して、

ママがそれをいつもとは違うかんごしさんにわたしに行ってた。


僕はきゃりー(これもよく聞く言葉だから覚えたんだ)から出られなくて、

ママがリオーって、だいじょぶかーって。


出られないのはママもわかってるけど、それでも指をスキマから入れて、

ナデナデしてくれたりした。


しばらくそんなことしてたら、

「リオちゃん、診察室へどうぞー!」

って呼ばれて、ママとパパと一緒に、シンサツシツに入ったんだ。


そこもやっぱり、イヤなにおいがした。

今まで行ってたビョウインと、あまり変わらなかったけど、

ちょっとだけヒロカッタかな。


そこにもまた違うセンセイがいて、ショウカイジョウを見ながらひとこと言った。

ヤッパリ、言った。


「初めまして、リオちゃん、よろしくね。」


「ところでこの子、欧米の血入ってます?」


僕は、僕のおかあさん、っていうのは、なんとなく知ってる。

でも、僕のパパとママは、ここにいるパパとママじゃないの?

オウベイノチ、って、ナニ?


パパとママは、お互いの顔を見て、

「いえ、あのたぶん、ごくごく普通の雑種かと思いますが・・・」


「すごいですねえ、10キロ超えは珍しいですよ。」


僕、メズラシイの・・・?



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