第19話 差別

 

  第十九話 差別

 差別…不愉快な人間が抱える大問題、障害者や男女や人種による偏見。穀潰しや役目が違うやみすぼらしいなどありったけの言葉をもって、線を引く人達。このコロニーをもってしても完全解決しない、障害者という名の難問。働けないとなると地球の施設に入ってもらうしかないのだ……。でもよっぽどの障害でない限り機械や社会の理解が進んだこののコロニーでは地球送りになることはない。

「精神病の新しい薬が出るそうだ、幻覚は副作用無しでかなり改善されるそうだ」

「人類のまた新しい一歩だね、これでまた不幸な人が減る」

『そう言えば、学校で統合失調症の人がいたな』『今頃どうしているんだろう』

 そして、一週間後のことスマホに指令が来た。ある障害者施設の調査だった、

「まだ、差別は深刻ですまだ結婚した人はまだまだ少ないです」

「そうですか、大変ですね」

「でもおかしいじゃないか、地球ならいざ知らず、障害者の情報が漏れているなんて」

「そういやそうだなんでまだ差別が!」

「はい、それが不明なんです、調査して貰えませんか?」

「もちろん」

「一応聞き込みをしてみます、挙動不審なものがまじっていませんか?」

「我々は高い理想を持って働いてます、決してその様なものはいないと信じてます」

「そりゃそうだよな」

 そうしてカールはパソコンを調べ始めた。

「おやっ」「えらいバージョンの古いパソコンだな」「怪しいぞ」

「確かにそうだな」「データはもれてないか?」

「今アクセスした時間を調べているんだこれで大体のことはわかる」

「夜中の一時にアクセスしているどうゆうことだ?」

「おかしいですね、そんな時間には私達は退社していますよ」

「もしかしてハッキングか!」「パスワードが盗まれているんだ!」

「よし、任せとけアカウントを調べて乗り込んでやる」

「頑張ってくれよ、カールこうゆう事は君の出番だ」

「よし、アカウントは見つかった、後はパスワードだな」「管理会社の許可を貰ってパスワードを開示してもらおう」「よし許可は取れた」「忍び込むぞ」

「あっ検索すると障害者のリストが出て来たぞ、なんでこんな物に興味があるんだ」

「多分企業に売ってるんだろう!」「まったく」

「私達の施設の人達もいます、もう無理だねネットでばら撒かれているだろうね」

「後は本職に頼むしかないよ」

「しかしこのコンピュータのアカウントやパスワードもあるぜ」

「なんてこった、どこから漏れたんだ!」「それも本職に調べて貰わないとね、この会社ネットでハッキングあったってニュースがあったから、そこからだろ」

 結局、ハッキングに強いソフトを導入する事で、決着を見た。

「しかし、もっとセキュリティには注意をお願いするね」

「はい」

 所詮、平等とは名ばかりの世界を僕たちは生きている、しかしそれは生物である限り、より良き子孫を残すための活動に他ならない。しかしこの複雑な社会ではなにが良き子孫を残すことか?の答えが見えにくい、だから平等と言う建前が存在する。でもこのコロニーでも王子様の様な騒がれ方をする男がいないわけじゃない、そしてさっき言った様に障害者ともなると結婚する事すら大変だ。

 しかし、人類の未来にとって勝利とは何だろう、遺伝子を残すことか知恵を残すことか?そして機械との関係は?知恵が勝つのかまた力が勝つのか…。またしたたかに生きる汎用性が勝つのかそれとも何かの正義か?貫く者が勝つのか柔軟性か?まったく分からない、世の中とは一つの物差しで測れる物では無いと知りながら答えを求める、しかし資源が悠久な物で無い以上苛烈な生存競争が起こるかもしれない、しかし革新的な技術の変化が起きて地球も自給ができる様になるかも知れない全て闇の中だ、でもその一つ一つの変化に人は適応しなくてはならない、そんな中で人は保守だ革新だと争いあう、そしてそれの仲を取り持つ人たち。

 頭を冷やそう宇宙開発が進まなければ資源の限界がき、文明は崩壊してしまう。しかし争う事なく開発は進むのだろうか?それさえ闇の中だ考えれば考えるほど分からないことだらけ頭が痛くなる。しかしその中で自分を好きになれず自暴自棄になる人達それもこの世の現実である、底辺の人達は必死に足掻くがそれも通用しない人、そんな人はついに絶望する、もうどうしようもないと。

 政府はそんな人達にギリギリのお金だけ与えて、家族を養う余裕など与えやしないれっきとした現実、そこに不満を持つ幾万の人達そんなものをのせながらこの星は回っている、美談だらけの世界おける明確な不満それが本当の世界だ…。この格差社会でお金を持つ者だけが得られる、家族を養う豊かさ、自由、幾多の人々がこの格差社会をなんとかしようとするがどうにもならない欲望というエゴの前に、チェンは言う聖人の様な清らかな心を全ての人が持てばすべて上手く行くと、

しかし世間は真逆だ清らかな人とは違った人がこの世を大手を振って闊歩する。

 すべてが優秀な子孫のために……。

 自らの法を破って法を守れとまだ言う政治家、そんな正義に一体なんの価値がある……。

 自らがたてる法で人気を保とうとする政治家そこに腐敗が生じないわけがあるはずがない。

 法の下真面目に生きるより、どう法の下で人を出し抜くかがこの世のならいなのだから。

             第十九話 完


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