第16話 詐欺

 第十六話 詐欺

「わぁ、大変だ」

「どうした、どうした」

 チェンが血相変えて、家に入って来た。

「詐欺にあったんだよ」

「詐欺?」

「ちょっと落ち着け、初めから話してみろ」

  チェンは少したつと息が落ち着いて来た。

「お母さんが電話を受けて、大変なことが起こった、僕の装備をとりに来るから、取りに来た人に渡してと言う詐欺に引っかかったんだ」

 チェンはどうしようどうしようと焦っていて。いい考えが出そうにない。カールに電話をした。

「そしたらロック保安官へ泣きつこう」

 と話がまとまった。

「また失敗かい、本当抜けているやつだなぁ」

「カール早く手を打とう」

「わかった」

 僕達は保安官事務所へ走って行って、ロック保安官に説明した、

「ショックガンも持ってかれたのかい?あんな物騒な物よくなくしたね!」

「ちょっと待てよ、ショックガンには確か発信機が入っていたはずだ、ちょっと待って」

「えーと、A108地区か!」

「イーグルチームの皆んなあったぞ!A108地区へ向かってくれ」

「はい!」

僕たちはさっそくA108地区へ電気自動車で向かった、工場らしき建物の前へと着いた。

「ここか!」

「ここが犯罪者達の拠点ですね?」

「発信機の反応を見るとここだ」

 三人は(チェンは後からついてくるだけ)工場の様子を探りながら、物資搬入口から中へ入った。そして社員用道具箱の所へ忍び込んだ、

「この道具箱だ一番反応が強い」

「よっし、さっさと開けるか、まず電子ロックのパスワードを盗もう」

カールは手持ちのスマホを電子ロックにつないでパスワードを調べ始めた、

「よし、cf52zjだ」「よしパスワードを見つけたぞ」

「さっさと開けてみるぞ」

僕がパスワードを打って道具箱を開けた。

 中には大きなバックがあって、ボタンを外して中を見た。

「あった!」

 チェンが叫んだ。バックの中からバラバラに分解されたショックガンと防弾チョッキが出て来た、

「さて、ショックガンを組み立てよう」

チェンは手際良く銃を組み立て頬ずりしている、そしてチョッキを着込んで。やる気が戻って来た。

「さて人事課にいって、この道具箱の使用者を聞いてみよう」「よっし、反撃だ」

「その人はこの頃、何か良く無い人と付き合ってると言う噂を聞きませんか?」

人事課の人に聞いた、

「その人はいわゆる不良グループの出身で仲間がいるはずです」

「チェン、カール近所の人に聞き込みだ」

「僕らが反撃を開始していることがバレないうちにとっちめなきゃ」

「その人がたむろしている家は確かあの家のはずですが・・・」

「何人ぐらいですか?」

「4〜5人のはずですが」

近所の人からいい情報をもらった、

「根こそぎ地球送りにしてやるぞ!」

「まったく、ふざけたことを」

「やつが帰って来たところを家に忍び込んで、全員捕まえてやる」

 一人の男が帰って来た、余裕ありそうな顔をしている。

三人の男が帰って来た、一人は真っ青な顔をしている。

「どうやら保管役の男が帰って来たらしいぞ

まずいなこれで僕らの手がまわって来たことをバレてしまう」

「しかし他の人を捕まえるには証拠が無いどうする?」

「そうだ、密談を録音しておこう、証拠になるだろう」

「じゃあ行くぞまずは玄関の鍵からだ頼むぞカール」

 カールは器用に鍵を開け、家の中に忍び込んだ。あるドアの前四人が何か相談してる、声が聞こえて来た、

「カール、聴音機で録音してくれ」

「わかった」

 一時間ほど録音して、

「よし、これで充分だ」

「中へ踏み込んで犯人を逮捕しよう」

「よし!」

 バーンとドアを開けて銃をかまえ、

「皆んな手を上げろ、イーグルチームだ」

「しまった!」

「くそしかたねぇ」

 一人が持っていたグラスを放り投げた。

 僕はひらりとかわすとショックガンを撃って行動不能にした、

「ここまでだ」

「カール、チェン手錠をかけろ!」

「わかった」

 そして、保安官事務所に突き出した。

「詐欺か」

「なんでこんなことをした!」

「昔の犯罪の本を読んでいたら、ついやりたくなって・・・」

「まったくバカな奴らだ」

「まだ若いから大ごとにはしないでおくが今度はないぞ」

「はい!」

「罰として一週間のボランティア活動を命ずる」

「すみません」

「反省してます」

 結局、今回も大事なく事件は解決した。

「物騒な世の中だな、僕の家が詐欺に会うだなんて」

「チェンお前なぁ」

「親にも開けられない保管庫で保管しておけよ、あんなバレバレの所に保管してるなんて知らなかった」

「ごめんなさい」

 損得勘定で動く大衆心理、人類はまだそれに対する答えをだし得ていない、利益を欲しがる大衆心理をコントロール出来ていない、

「結局人は損得勘定で動く、思想教育も歯が立たないな」

「仕方ないよ所詮欲をゼロにする事は出来ないんだもの、生物だもの」

 とチェンは嘆いた。

「しかし孔子先生は欲望を抑えるように人に教えたんだがな、それも霞んで来たな」

「一所懸命教えた聖人たちに申し訳がないよ、残念だなぁ」

「だから聖人たるべく頑張らないといけないと言ってるじゃないか!」

「しかし、欲を無視して生きることは辛いぞ」

「そんなこと分かっているさ、しかし・・

・」

「それより、もっとしっかりしてくれよ損得勘定がどうのこうの言う前に」

 とカールは言った。

「わかっているさ、しかし面白くない現実だな」

「そんな事わかりきった事じゃないか!」

「わかっているさしかし、このことで泣いている人がどれだけいるか知っているのか!」

「それが人の性だよ」「今のところはどうにもならない」

「神様が全ての損得勘定に苦しんでいる人たちを救うと思わなきゃやってらんないよ」

        

           第十六話 完





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