第12話 無垢


 今から十年前のことチェンと僕が出会った 

時のこと。その頃チェンは移民したてで貧乏だった。

 チェンはいじめられっ子で僕がよく助けててあげたものだった。

「やーい貧乏人」

「こんなすごいおもちゃかえないだろう」  

「そんなことあるもんか」

「なぁチェン親が働いて買ってくれるよな」「チェンそんなことより僕の家へこないか」

「ありがとうヒデト」

 こうしていじめっ子から守ったことから僕

達の友情は始まった。

「これが新型のAIコンピュータか」

「これがAI三国志か」

「一緒にやる?」

「もちろんやるとも」

「シナリオは189年にしよう」

「董卓包囲網だな」

チェンは楽しそうに言った。

チェンは孫堅をとり、僕は劉備をとった。

チェンは程普にいろいろきかれていた

「孫堅様それでは夢と目標をお聞かせください」

「うーんとね夢は中国の平和、目標は漢室の復興かな」

「わかりました軍師として覚えておきます」

 3D映像の程普が消えた。

「まあ無難なとこだね」

 チェンがほっとした表情を浮かべて。

「次はヒデトの番だよ」

「僕の夢と目標も同じだ」

 3D映像の関羽に言って。まず勝利条件に重要な意味をもつ初期設定を終わった。

「この夢と目標を達成すると心変わりなく夢を達成したことになるんだね」

「あまりころころと夢や目標を変えると最後のエンドロールにいきあたりばったりに人生を生きたとかでるから気をつけろよ」

「わかった」

とチェンは言った。

 そして僕らは兵を募って虎牢関へ向かった。

えーと僕は孫堅と黄蓋と周泰で三角形の陣形

を組んで後は自動、コンピューターまかせだ。

 僕は剣を振るうぞこの頃の劉備は強かったはずだ。

 3Dの関羽が

「兄じゃ私が一隊を率います先鋒をおまかせください」

と言ってきた。

「いいよ」

と返事した。

 イベントが発生して呂布との一騎打ちとなった。だいぶ苦戦したが関羽と張飛とで呂布をぼこぼこにした。

「やったぜ」

「さすがヒデト」

この戦いで董卓軍は総崩れとなり。

 洛陽を焼いて長安へ遷都するイベントがでた。

 ここで史実では連合軍は内輪もめで解散することになっている。ここからのゲームの話ははぶかせてもらうとして。一応結末は漢室が復興したところで終わったはずだ。

「やったぁ」

ここでエンドロールがで、見事目標が達成されたことと、劉備と孫堅のその後が流れた。

「僕たちの夢や目標はかなうだろうか?」

「かなうといいな」

チェンはぽつりとつぶやいた。

 僕はその言葉をなぜだか鮮明に覚えている。

 あれから、チェンの夢はかなったのかな、

ふと思いついた。

 人はゲームのようにやり直しのきかない、

人生という、ドラマをいきている、子供のころのの無垢な思いのうえに……。

 そしてこのコロニーでも不満がないわけではない正義を命をかけてまで希求することができないという。不満があるのだハイリスク

でも人のためになりたいという人にとってはこのぬるま湯づかりのこのコロニーではそれは無理しすぎるということで排除されることとなるだから、実は言うとこの世界も完全じゃない地球ではまだある程度この不満を解消しようする連合もないわけじゃない。ようするにもっと自由で競争の考えをとっている自治区もないわけじゃない。現実は難しくひとつの論理で統一されているわけじゃない。残念ながらまだまだ理想が完全にかなった世の中ではない。だからこそ人は無垢な思いの力を借りて夢を追う。

 大体この世界で夢を追うのは三通りの方法

がある。信心を持って正義を追う者、真理を探究して正義を追う者、そして自然の中から

法則をさがすと言う正義の追い方をするもの

どれも一長一短があってみんなそのことしりながらも文字通り命をかけて新たなる正義をさがす。そんなひとびとを人は羨望のまなざしをもってみる。

 その怖いものしらずの一生縣命さを……。

 時代は21世紀初頭ついに資本主義経済の

正義はいきづまりをみせていた。赤字が累積した国家、そのせいで福祉政策はいきづまりをみせ、税制の逆進性という苦肉の策がとられるようになったのである。悪とわかっててとられる悪法に民衆はあきらめの色を隠せなかった。そこで批判が集まったのがアメリカの夢、つまりはアメリカンドリーム批判である。誰にも成功のチャンスが与えられているからこのままでよいという、屁理屈にエリート層でない人々から不満が噴出したのである。

 事実上有利に子供のためにお金をかけれる

エリート層に対して貧民層はそうはいかない。

 このことをかくして自分の国は正義だというアメリカに不満が表面化しだしたのだ。

 そこでアメリカはその経済力を使って、人類の正義とは? という議論をあらゆる国家に問いかけた。

 その議論は各国の正義の尊重という形で終わり。そこでアメリカは宇宙に植民してその経済力をもって栄光を取り戻すという手に出たのである。

 世界は小さい政府のいきづまり、大きい政府もだが結局不満の根本はなにかということになった、結局は議論は子供を作れない、または子供をいい教育をうけさせてやれない。

社会体制の抜本的改革が必要だということとなった。しかし民族間や会社内、そして家庭にまでおよぶ相互不信の嵐が人間界におとずれている、いわば自由の代償がある、この問題にいろいろな角度から挑む若者たち。これがこの世界の根本的課題である。 

 人類全体がある一定以上の生活をできるまで政治家の苦闘は続く、宇宙では物資が優先的にまわされているのであまり深刻にはならないがそれでも年頭のコロニー議会では熱い議論が戦わして、進められるどこに物資を投入したらいいのかは大変な問題である。

 しかし地球では宗派や宗教同士のこぜり合いがまだまだ根深い。その調停に地球統合軍が動くこともある。しかし統合軍の地球の警察的行動もだいぶ板についてきて内戦まで悪化する所はすくなくなった。世界の軍隊が統合され対立のため軍事支援なんてことはなくなり力で現状改変しようと言うことはなくなった。21世紀における人類の進歩のうちでも最大といっていい進歩だろう。

「イスラム教の最高指導者とバチカンの大司教が手を取り合っている写真がでてるぜ」

 カールが話した。

「イスラム・キリスト友好30周年記念だってさ」

「人類も平和になったものだ」

 イングが嬉しそうにいった。

「まだまだ貧富の差とか人類に課せられた課題は解決してない」「頑張ろうぜ」

 イーグルがしめくくった。

「しかしお前20世紀にうまれてこなくて良かったな20世紀は戦争の世紀だったんだぞ」

「そうだなどうなっていたのやら」

「イングそんなしょーもない例えで落ち込むなよ」「俺たちの未来はこれからなんだぜ」

「そうだね」

 と言ってチェンは笑った。


             第十二話 完 

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