第11話 愛と刺激
このコロニーでも愛の形は西洋社会と同じだ。基本的にアメリカの形をとっているので自由恋愛だ。でも愛とはすばらしいことなので、コロニー政府が出会いの場所を提供してくれる。コロニー政府は休暇まで提供してくれるのだ。ここでは不善な性愛(例えばラブ・ホテル)をする所が一カ所もないので、また不善な行為を行わないよう(結婚したら家がもらえる。)コロニー自体が管理されている。
又、女の人が欲望の対象となる。不謹慎な本やビデオやDVDなどはない。たが新体操や水泳を行う上で水着姿までは認められている、そして男の子達はアニメの女性とかで恋愛の研究をしている。もちろん女の子のほうも同じだが。
そしてイーグル・チームの三人の仲間達にもその通知が来た。
「あせって理想のタイプを間違えるなよ」
カールが言った。
「ヘン、お前もな」
チェンが言った。そしてその日、チェンとカールをつれて、若者達が集められた会場に行った。
「キャー、イーグル・チームの人達よ!」
と見知った女の子達が集まって来た。
そしてコンピューターによる診断と、仲人さん達が診断した会議が行われた。
男の子達も女の子達もコンビュターに入力を始めた。
「カールどう書いた」
カールとチェンが相談を始めた。
「どうしたんだ」
と僕も入って行った。
「カールが早く決めろって言うんだよ」
チェンが言った。
「でもなかなか決めれないんだよ」
チェンはぼやいた。
「こんなの美人て書いておけばいいんだよ」
とカールは言った。
「でも器量は普通でいいし、やさしかったらいいけど、しっかりしていてもいいし、幸運に恵まれているひとでも、不運な人を助けるのでもいいなぁ」
とチェンが言った。
「お前にはいいタイプがいるよ」
「普通ってタイプだ」
僕は言った。僕はこれは的をえた答えだと思った。
「うんじゃ、普通にするね」
チェンが答えた。
「カールはどうするんだよ」
チェンがつっついた。
「僕は美人で、グラマーで、やさしくて、頭が切れて、なおかつ子煩悩で」
「えぇーそんなタイプいるのかよ」
チェンが叫んだ。
「さて、コンピューターに入力するぞ」
僕が言って終わらせた。
「それじゃ、ご対面」
と仲人の人は言った。チェンには、真面目そうな孫倫という女性が、カールには、ミハエラ・ビーナスと言うロシア系とアメリカ人の混血の人。
僕には純血なフランス人であるマリア=ランヌと言う女性が紹介された。なにやら相手が勇者を望んだらしい。カールの女性は、科学者を望み、チェンの女性は、賢者だったそうだ。
「いゃー、まいっちゃうね」
とチェンが言った。
「きゃー素敵なんて言われてしまった」
とニガ笑いをした。
そして仲良くなって、それぞれの理想や夢を語り、女性は冒険の話などの現実的な話を聞いてきた。
女の子と打ち解けた頃、ロック保安官がやって来た。
「ああ、君達がいたか」
と保安官が言った。
「ちょっと手伝ってくれないか」
「えー!」
こんな楽しい時にて言いたげな顔をした三人に女性達が、
「がんばって」
と声援をあげた。
場所は変わってとある倉庫。
カールと僕は見張りを後ろから口をふさいで声を出さないようにしてショックガンを撃った。
「うっ!」
小さな声を上げて二人共倒された。
「よしっ」
僕達はそう言って倉庫の中へ入っていった。
ゆっくりと中へ進み。プラスチックとコンクリートでできた壁にそっと耳をそばだててみた、すると。
「どうしても男の子をうんでみたいのですね」
「はい」
とささやく声がした。
「私達は、以後のことに一切口を挟みません」
「それでいいですね」
「今の言葉、マイクで取っておいたよ」
チェンからの声が聞こえた。
「さぁレッッ・ゴーだ」
チェンが出発の檄を飛ばした。
僕らは、倉庫中央の一見学者風の人達に向かって銃をかまえた。
「倫理法に触れる行為だな。お前達の会話はすべて取らせてもらった」
「くそう!」
「逃げろ!」
科学者風の人が叫んだ。しかし逃走より早くショックガンを撃った。
後はロック保安官にまかせて、僕らはお見合い会場へ戻った。
そして、マリア=ランヌとの二人きりの時間となった。
「どんな冒険だったの?」
マリアは聞いてきた。
「ちょっと重大な事件だったよ」
と答えて、僕は少し黙りこんだ。
そしてこう思った。僕達は友情というものを純粋に信じ、これからもまた友情を深めていくだろう、しかしこれからはまた違う、『愛』と言うものも入ってくる。また子供に対する『愛』というものも考えなければいけない。そしてそれらに対する責任、そして大人への第一歩をしるさなければならない。それは夢から現実へ、またそれを動かす金やさまざまな権力との遭遇となる。いいにしろ悪いにしろその影響をうれることとなる。刺激を受ける方から刺激を与える方への大転換がまっている、子供から大人へ、子供は夢や楽しさから楽しいという刺激をうけ成長していく、
それらは一見大人になっても変わらないように見える。しかし、大人は正しいことは何なのかを子供に伝えなくてはならない。また別の意味では正しい知識とはなんなのかを。非常に哲学的な難しい問いだ。
確かに悪い所を見た時、それを注意するのはそのことは簡単だ。しかし正しい姿を見せる。このことは難しい。
これを世界的なことにあてはめてみよう。
人はこの事実を知らずして、大人になる歴史が続いてきた。そのあげくが権力をとって、俺の悪い所は見るなと言う命令をおこなって、
権力というものを使う人が多かった。しかし悪事の種は、権力と言う土壌を媒体にし、ついさっきまでは歴史と言うメリーゴーランドで常にばら撒かれてきた。そのことが無視される時代は終わったがまだ人生における、重大な関心事であり続ける。
「僕達は子供世代でもまだ輝いているだろうか?」
と僕は言った。
マリアはこう言った。
「私があなたが理想的な人間であると教えますよ」
と答えた。
そして静かにキスをした。
「僕は君と結婚したい」
と僕は思い切ってプロポーズをした。
「はい」
とマリアは答えた。そして二人はいったん帰路に着いた。
僕は考える。博愛、仁愛、無償の愛、さらに法律、倫理、平等、この正しい言葉の意味を子供に伝えて行こうと思う。さらにそれに友達の大切さや正義のすばらしさなどもである。でもその道を歩いているかどうかさえわからないのが本当であるが。
ここで友の声を思い出す。
カールは言った。
「結局どの道も結果論だよな」
そしてチェンは言った。
「なるようになってしまうのが人生なんだよね」
そこで僕が言った言葉を思い出す。
「結局、自分に嘘をついて生きるのか、そうではないかなんじゃない」
と答えたはずだ。
完
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