第5話 地球
探偵団イーグル・チーム
青木 成三
第5話 地球(アース)
「さあ正月にもなったことやし、今年は日本へ帰ろうか?」
父の英雄が言った。お母さんも同意したので今年は地球へ帰ることになった。2091年のことだった。
同じくチェンやカールも一緒のシャトルで里帰りすることになって、なんとか皆チケットを手に入れた。
帰還用シャトルに乗って、スペースシャトルでスペースステェーションを経由して地球へ向かった、すごい衝撃が走ってそしていっきに、青い空が広がった、
「種子島ステェーション。」
「種子島ステェーション。」
着陸の声が響いた。ドンという音とともに着地した。故郷は日本の九州という所でおじいさんとおばあさんが迎えに来た。
アスファルトしか知らない僕にとって土というものが新鮮で、毎回ながらそう思う。又野球というスポーツも見た、重力は変わらないのにすごく飛ばすな、て所も毎回ながら感心する。そして自然、海や山や雲のスケールの大きさにいつも感動する。山は阿蘇山、海は太平洋を見て水平線や地平線を見た見事な風景だ、動植物の種類の多さにはいつも感激する。(地球の人には笑われそうだけど。)雑草にもいちいち不思議がる、そして海を見た、毎度のことながらこの大量の水には関心する。魚釣りにも行った、釣った魚は魚拓を海に逃がした。夜は鍋料理だった新鮮なものを食べお腹一杯になった。休暇が終わり大隅半島リニア・ループに乗り宇宙へ帰った。
チェンとカールは研修旅行を兼ねてユーラシア大陸横断旅行に出かけた、故郷へ帰り旅で、宇宙ステェーションからグラスゴー宇宙センターに到着した二人は、さっそくユーロスターエキスプレスに乗り込んでベルリンをらめざした。途中パリに着き、観光気分を味わった。凱旋門の大きさにびっくりした、又エッフェル塔へ登ったり、ルーブル美術館を行ったりして、歴史的な美術品を見たりした。
さて、ヨーロッパの状況について一言言っておこう。旧ロシアの領域までヨーロッパ連合の管轄地になっている。自治区はヨーロッパ連合、東アジア連合、南アジア連合、西アジア連合、アフリカ連合、南米連合、北米連合、オセアニア連合に分かれる。各連合とも内輪もめを抱えながらなんとかやっている。
そして、ベルリンについた列車から出た二人は、ベルリンの壁の破片などをショッピングしながら観光をした。それから旧ロシアの首都モスクワに着いた、ここも2065年の核全廃と同時にヨーロッパ連合に入り、物資を乗せた列車が次々に入って来ていた。クラスノヤルスクまで大シベリアの大地が続き圧倒されたなんといってもどこまで行っても森なのだ。
そこから中国特急に乗り換えて東アジア連合に入っていくことになる。
「なんか街並みが変わってきたね。」
「あーあ。」
旧中国の首都北京へ着いた。
「さあ、後は南へ南へだ。」
とチェンは言った。
チェンは故郷の香港に着くのがうれしくてたまらないようだ。
そして中国縦断エクスプレスに乗って香港に着いた。ここは東アジア連合の重要な港として国連軍の自治区軍の軍艦が停泊していた。
日本自治区軍や朝鮮自治区軍や中国自治区軍の軍艦がかっこよかった。(2025年南北朝鮮は合同している。)
後は九竜半島リニア・ループに乗って帰るだけなのだが、又二人はぺちゃくちゃと話を始めた。
「中国も2100年のミレニアムに民主制に移行すると書いてあるぞ!」
とチェンが叫んだ。
「そりゃ、よかった。」
と新聞を地球統一通貨5アースを払って読んで言った。
「細菌兵器・化学兵器の廃棄を決定したとも書いてあるぞ!」
とチェンが言った。
「北米連合・ヨーロッパ連合・西アジア連合に続いて、東アジア連合も全面廃棄が決定したな。」
「来世紀末には他の恒星系にいかなくちゃな!」
カールは叫んだ。
主な政治機構としては、一番上に国連政府があり、二番目に連合があり、最後に国の名残りとして自治区がある。軍隊はすべて形式上は、国連治安軍として残り、経済も統一されている。
21世紀末多少のいざこざはあるけども人類は宇宙の扉をこじあけつつある。22世紀末ではどんな奇跡が待っているだろうか?カールは夢をかなえるだろうか?チェンの夢はかなうのだろうか?未来はどうなって行くのだろう。地球は120億の民を乗せてどこへ行くだろうか?まったく夢の中である。宇宙に続いて地球も夢をつかもうとしている。人類に平穏の時が訪れるのはあと少しだ。国連憲章にこうある。人類は、恒久の平和を念願し、人類相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する各自治体の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意したとある・・・。
・・・さらに我らはいづれの自治区も、自治区のことのみ専念して他の自治区を無視してはならないのであって・・・と続く。
国連憲章第1条、基本的人権を尊重し人類は、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から除去しようと努めている・・・。
国連憲章第2条、人類には勤労の権利があり、義務がある・・・。
「これが達成されるのはいつのことになるんだろうね。」
とチェンがつぶやいた。
「土地や経済、政治の問題があるからね。」
カールもつぶやいた。
「さあ、ループシャトルの駅についたよ。」
とチェンが言った。
「宇宙へ、コロニーセブンへ戻ろう。」
と、カールが言った。
「豊かな人や貧しい人、英雄や普通の人の世界から出発するのもあと少しだね。」
とカールが言った。
「悔しいなぁこの地球でも流星号やショクガンやショックボムがあれば探偵ができるのだけど。」
とチェンが言った。
「それは今回はできなかったな。」
とカールが言った。
「さあ出発だ。」
とカールが言った。
出発のベルがリーンリーンと鳴った。
「乗客の皆さまは、お早くシャトルにお乗りください。」
カールとチェンはシャトルに駆け込んだ。
ガタンと安全カプセルが閉まった。
ものすごい音がしてリニヤのスピードが上がった。後は大気圏外まで一直線だった。
減速のロケットに火が入った。
「ドドドド・・・。」
シャトルはスペースステーションに入った。
ガタンと音がしてカプセルははずれた。
そして二人の地球旅行が終わった。
「いろいろな人がいたね。黒人や黄色人種や白人や貧しい人や豊かな人・・・。」
それから二人は地球のことをいろいろとイーグルに話した。
「日本はよかったよ。」
とイーグルは二人にいろいろ自慢話をした。
「イーグルこっちの話を聞いてほしいな。」
とチェンが言った。
「ふうん、世界はまだそんなところもあるのかー。」
と言って話は終わった。
2090年の現在、地球はブロック化と自治区化と統一の方へ大きく動きつつある、あの国連憲章が全世界の国々に行きわたる日はいつのことになるのだろう。
又漢字から国と言う字が無くなるのはいつのことになるのだろうか。夢は着実に歩むスピードを増して未来を切り開きつつある。そう遠くないいつか世界は国連によって統一されるだろう。
その日いつかの未来ではなく、そう遠くない日のことだろう。
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます