第3話 夢の世界
探偵団イーグル・チーム
青木 成三
第3話 夢の世界(ドリームワールド)
ここでこの世界のことを説明しよう、それは、宇宙の大きな実験棟、成人した若者たちも自由に地球で働くこともできるが、研究者や宇宙船の建造に働くことは非常に人気のある仕事なのでこのコロニーからでていく人は少ない,親もここのまず仕事から教えることが普通である。前にも話したが働くことは美徳とされているうえに宇宙の辺境に位置するこのコロニーでは人の出入りが少ない。そのため人が事故でけがをしたりするとたちまち苦労することになる。そのため労働を管理するシステムが厳重にできている。つまり人員に予備が少ないのだ。おまけにこのコロニーでは物資の配分が宇宙船のように決められている、したがって企業はあの手この手をつかって労働意欲を高めようとするためヨーロッパ同様休暇を多めにもらえる。そしてありがたいことに人手不足なので地球から選りすぐられた人材がやってくる。おかげで生活保護になるような人はほとんどいない。
金……。これが意味をもつようになって何千年の時がたつのだろう。この魔力にとりつ かれ身を滅ぼした人の数は数しれない……。 しかし、今もアメリカン・ドリームにとりつかれ、一夜の夢でもいいからとゆう、人達は数知れない、それをあおることは本当に良いことなのだろうか。事故があるたびとりざたされる。命の価値……。
それは理不尽にもこの人類かせられた、重い十字架である。今もなお金ですべてをかなえようとする人は数多い、しかし競争主義社会は絶対必要なものなのだろうか?すべてお金で図られることははたして? そしてすべての計りは金でいいのだろうか? 格差社会やこき使われる労働者や欲望をあおるマスコミ。どんな賢者の言葉も無視し利益だけをむさぼる資本家……。すべての人を幸せにできないこのシステムに安住する政治家……。
そこで次の夢として考えられたのが、ジャパン・ドリーム。てっとりばやく言えば80年代の日本の思想である。年功序列、終身雇用、そして地域社会である。びっくりする方もおられようが結局世界の学者達が考えた結果そうなった。一億総中流、人情味あふれる管理職、人間皆兄弟をさけぶマスコミ、人情味あふれ若者を教育する職場……。そして西洋の思想を取り入れて政治家の見直しをした議会。まだ全世界にと言うわけではないが宇宙ではこの考え方を取り入れているコロニーも少なくない。さらにこれに差別問題をてってい的に教えた教育やコンピューターで管理された統計情報などの思想も足しこのコロニーはなっている。
しかし誰もが知っている……。形あるものはいずれ朽ちていく。栄枯盛衰と言う悲しき、この世のさだめ……。この夢もいつか朽ちていくこと知っていてなおまた先の夢をかんがえる、永遠の問い・・・。みんなが幸せの社会というおそらく永遠の夢を追いかける賢人たち……。
そのはてなき旅に人はある一定レベルの社会を作ることができるだろうか?今も探し求めるその答えに……。
しかしこの問題に対して逃げ場などない。
力あるものは一生懸命に力をだし、知恵あるものはその知恵をしぼり、懸命に生きていく。
逃げ場なきこの難問を誰もが頭によぎらせて。
ただ懸命に生きていく。しかしこの三人にはそんな問題など、どこ吹く風といったふうにのうてんきに次の探偵の仕事の話などしている。いつものイーグルの家で、
「おーそんな裏技があったのか!」
「まだまだ甘いなチェン」
「さすがイーグルまだまだこのゲームは奥深いな」
「チェン家で研究してこいよ」
「わかった」「もう時間だそろそろ切り上げよう」
と言ってチェンはイーグルの家を出て行った。
「じゃまた明日」
と言って二人は別れた。
こんなことをしながら僕は思う。僕の将来の夢アメフトの選手になるという、僕最大の
夢かなうだろうか……。僕は探偵のような人類を悪い方向に向けようとする力を弱める
ことにもやりがいめいたものを感じ始めているのだが……。
またロック保安官から仕事がきた。
「水星の太陽エネルギー発電所の様子がおかしい」
と密告があった。
又、流星号にのって金星基地(ビーナスコロニー)に向かって走り出した。
ビーナスコロニーに着くとぼやく人々がいた。
「この頃物資の供給が不足してないか……」
「水星基地への物資が滞りぎみらしいぞ、市長はなにやってるんだ!」
「あれビーナスコロニーからはなにも……」
「地球までとどく無線は市長が管理しているからな」
「へーこれは大物がでてきたな、ビーナスコロニー市長か……」
「ではいつもの通り夜になったら忍び込もう」
「またもや俺の出番か」
「なにがでてくるかな
夜になりビーナスコロニーの役所へむかった。
「さっ忍び込むぞ」「みんな用心しろよ」
といってカールはロックを外した。
「物資供給用コンピュターになんとかアクセスしよう」
カールは七つ道具を使ってアクセスした。
「資材に不足はないようなのだがなー」
ローカルネットに入っていろいろ調べ始めた。
「チェンちょっと見てくれないか」
「わかった」
「帳簿上はみんなに資材がいきわたってる。ようになってる」「帳簿上はね」「しかしこんな帳簿。なんとでもできるものさ」
「何か証拠になりそうなものはー」
「あれなんだかおかしいなこのファイル、ゴミ箱の中に入っていたんだが」「あれカール」
「すまないが復元してくれないか」
「ほいっ」「さてとこの復活プログラムでー」「えいっ」「ほーこりゃすごい」「市長からの命令書だ」
「なになに資材を秘密裏に横流ししておけ」
「なんだって!」
「こりゃえらいものを見つけたぞ」
「市長がとうやら一枚かんでいるみたいだ」
「それでもみ消しているのがだれか」「わかったぞ」
「ぼくは流星号にある無線機を使って連絡をとる」
「みんな証拠品もっと集めておいてくれ」
翌日地球の統合警察からの刑事が金星に乗り込んできた。
そして金星基地は大騒ぎとなった。市長は不正蓄財の罪で統合警察に尋問を受け、どこからともなく物資の山がでてきた。市民は大喜びで物資をうけとっていた。
「こりゃ裁判沙汰になるな」
「しかし実際のところ物資は滞ってたんだ」
「金星市長も弁解の余地ないさ」
「大スキャンダルだもんな」
「しかし会計係に圧力をかけて物資の横流しか」
「まだまだ僕たちの様な探偵が必要ってことだよ」
「しっかしまぁ」「この世から悪が無くなるのはいつのことになるんだろうね」
「いろいろ法律の解釈もあるから難しいけど」「僕らの世代で減らしておかないと大変だ」
「そうだなこれからの世代のためにもう少しましな世にしておかなくてはな」
とイーグルはしめくくった。
第三話 完
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