第2話 不死(アウンデッド)
次の舞台は月基地での話・・・・。
青木 成三
第2話 アウンデッド(不死)
2030年 月基地建設。
2045年 スペース・コロニー建設。
2050年 火星植民化計画実行化に入る。
2070年 水星・金星太陽エネルギー計画実行化に入る。
2090年 木星探検計画立案。
以上が今までの歴史を略したものである。
人は歴史が始まって以来、不死に挑戦し続けてきた。ミイラ、冷凍保存、等々、そして現在、この事項に対して激しい論議がおこなわれている。人は不死、又は永遠の生命が必要なのか? 今もって答えはでない。
又、このスペースコロニーでは、この言葉はタヴ―視されている。それは、自然に生きる事に対してそれ以上の幸せはありえるのか? と言う問いに答えられないからだ。
それは、神や仏の領域に入りすぎるから答えが出ないということになっている。
そしてまだそれを取り締まる法律はない。
コロニーでは禁止されていても地球では数多く行われ技術は進歩の一途をたどっている。
不死、この神への領域への挑戦は今もって、倫理委員会での大変な問題である。人は子供を作ることによって子孫を残そうとする。このことに対して不死というのは非常に反対の考え方になってくるからだ。人は子供を残すことによって将来を作りだそうとしてきた。この当たり前のことが非常にあやふやになって来たのだから、そして人口問題、人は技術文明が発展するにしたがって自然に子供の数を減らして来たがそれはもちろん、人が子供を作り子孫を残そうという考えが人から離れていくことにほかならないだろうか? いまもってこのこと対する答えは出ない……。
そしてこの技術文明に対することもいまだ有効な答えもでてきていない、いかなる方向
に技術を発展させるのが知恵を上手くつかうとということになるのだろうか? 人は文明というものによって幸せになったのか?まだこのことに対する答えすらでていない。今も地球上、地球軌道上に無数の核兵器があるのだから……。
そして本当に人が人を助けるために知恵や発想が使われることになるのにいったいどれくらいの時が使われるようになるのか?また永遠にその時はこないのだろうか? 難しい問題である。もしかしたら人は神から知恵をさずかったのか? もしかしたらこれは生物が神の領域へ突入する最終兵器なのだろうか?はっきりいってこのことも答えはでない……。
このコロニーもそのことに対して決して無縁ではありえないのだがコロニーではできうる限り無理に知恵を絞ることがないようにできている。保守的といってしまえばそれまでだが、限りなく平等が維持され、できうる限り健全な娯楽が保障され、できうる限り倫理的なものが優先されるのがコロニー世界なのだ。それはいつもこの町は広大な宇宙船とたとえられる。またこの世界はできうる限り、
ゆとりが愛され、協調性が重要視される世界なのだ。個人情報は管理されてはいるものの。しかし限りなく芸術やスポーツ等々の娯楽が保障されているために、地球人からすれば夢のような世界となるのだ。そしてはっきり言ってしまえば辺境、宇宙の中の辺境世界と言うものがこの世界であったりするのだ。
今日もまた、人は職場へと出勤していく。子供たちは学校へ登校する、そして子供と大人の中間で、暇をもてあましているいる三人の探偵の卵達も、次の仕事の準備をするためにいろいろ訓練をおこなっていた。体をマヒさせ、一時間は犯罪者を行動不能にさせるショックガンや、同様にショックボムとかの整備をおこなっていた。
「お前って銃の整備するのが下手だよな?」
またカールからのチェンへのからかいが始まった。
「お前って手先不器用で体を動かすのが苦手ときている。失敗して探偵業の足を引っ張ることのないよう、気をつけろよ」
少しチェンは怒った顔で、
「あのな、言っておくがお前にいわれたくないな。ちょっと器用だからって図に乗るな、頭はこっちのほうが上なんだからな。第一イーグルにお前を紹介したのは僕じゃないか」
「すまない。だが……」
と言う二人のじゃれあいがえんえんと続く前に、
「チェン謝っているんだからもうやめにしとけ」
僕らはそんな事をいいながらも日曜日になればシミュレーションやロールプレイング等のコンビュータ―ゲームに夢中になるのだ。
ゲームの中では共通の敵と戦ったり、平等な条件でゲームの中で競い合ったりする。これが僕達の暇つぶしであり、人生の楽しみだったりする。
そんな僕らにロック保安官から次の仕事が来た。今度の仕事はルナ・シティの秘密の研究をおこなっている研究所の調査だ。
僕らは又シューテング・スター号に乗ってルナ・シティに向かって旅立った。
ルナ・シティ 人が初めて地球以外に足跡をしるし、居住空間を作った初めての場所。
月基地。最も早く植民基地となった場所『月』
基本的にはこの地もスペース・コロニーと生活はあまり変わりはしない。
そして、夜、警備が厳しいその研究所に入り込もうとしたがどうもうまくいかない。しかたないのでショックガンの出番となった。
一人ずつ一人ずつ警備員を倒しながら、侵入していった。どうも研究所らしからぬ。様で今度は説得できそうにない。何段にもある警報システムにも非常な大変さを感じる。さすがに今度はピクニック気分でいるというわけにはいかない。
一階、階段を上り、二階に入ったがまた、
警備システムがどっさりあった。
「いい加減にしてくれよ!」
ついにカールが悲鳴をあげた。
「あまりに厳重すぎるいったい何がどうなってるんだ」
チェンも、もう飽き飽きと言ったふうだった。
「敵も一生縣命なんだろうな」
と僕が言った。
「さあそろそろ研究所の資料倉庫らしいぞ」
とカールはそう言って、いつもながら器用な手先をつかって鍵をあけた。そこでやったと言う顔をして右手で行こうと合図をした。そこはきちんと整理された資料倉庫で、いろいろな資料が入っていた。カールと僕とでその資料を調べにかかったが、前回同様なんのことやらさっぱりわからない。そこで後ろからチェンが出てきて『遺伝子』等々が書かれた、その資料を読み始めた。
「なるほど……」
つぶやいてチェンはその資料を読み終えた。
「さて……」
と言ってチェンは、その資料を閉じた途端!
「お前何者だ!」
と言って十人ほどの所員がなだれ込んで来た。中には銃を持っているやつもいる。
とっさに僕はショックボムを投げた。間一髪で爆弾は爆発して所員は全員倒れた。
「やれ、やれ助かったな」
「さすがイーグル」
カールとチェンに褒められていい気分になったがすぐ気をひきしめてチェンに資料の説明をお願いした。
チェンは少し緊張した顔で、
「つまりはこうゆうことなんだ」
チェンは説明し始めた。
「ここの所員が影でコソコソ研究していたのは、不死の生物てやつさ」
つまりは遺伝子を操作して不死の生物を作ろうとしていたらしい。
翌日、保安官(もちろんロック保安官もいる)達が所員を全員逮捕し、この話も見事未遂に終わった。
僕は思う。人間が遺伝子をあやつれるようになった現在、生物の進化はどうなっていくのだろうか? また今も行われている生存競争から抜け出せるのだろうか? それに対する答えはまだ出ていない……。
また二人の話声が聞こえる。
「不死の生物なんてすごいことを考えついたものだね」
チェンは言った。
「そんなことができるのはきっと神様だけさ!」
とカールは答えた。
第2話 完
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