探偵団 イーグルチーム

青木 成三

第1話 タイムマシン


探偵団イーグル・チーム

              青木 成三


  第1話 タイムマシン

 西暦2090年、人類は太陽系の星々に植民基地を作っていた、その植民基地のひとつ

が地球軌道上にあるスペース・コロニー7がこの話の最初の舞台である。

 スペース・コロニー7 人口10万の植民基地、地球人はそこを理想郷と呼ぶ。何故地球人はそこを理想郷と呼ぶのか? 理由は、そこが平和と協調の保障された宇宙船のように思われているからだ。厳しい選抜で選ばれた治安組織、コンピューターで管理された物資配分、規律を守らないもの、規律を破る行為をおこなったものは強制的に、厳しい罰が与えられる、その生活が住民になじむまでに30年の月日が費やされた。

 そこに、今年18才を迎えた主人公もいる、

主人公の名前は鷹田英人、あだ名をイーグル、ヒデトという。

「ヒデト、大学の試験落ちたんだってな」

 これは親友のチェン、いつもヒデトと僕のことを呼んでいる。そう僕は大学に落ちてしまった、チェンは商業高校にいったから大学を受けることはない。

「ヒデト、これからの将来はどうするんだ?」

「それなんだよ来年もうけることにするよ」

 と僕は答えた。

「そうか一浪ってやつか」

「それはともかく、チェンお前はどうするんだ?」

 スペース・コロニーで成人になった僕らには22才になるまで自由があたえられる。それは人生の一時の空白である。大学で勉強する者、フリーターで頑張る者、企業で技能研修を受ける者、いろいろだ。もし23才になるまでコロニー労働局に正式な仕事を与えれなければ。治安当局からうるさく言われてしまうが。

 しかし、よっぽどのことがない限り生活保護と言うことにならない。労働は美徳であり、企業はあの手この手を使って適した仕事を探しだす。そして就職ということとなる。

 でも僕達はもう一人の友達のおかげで大冒険にまきこまれることになるのだ。その友達の名前はカール、フルネームはカール・スコルツニ―と言う。もともとはチェンが連れて

来た友達だがなんとなく友達になってしまった。工業高校に入っていろいろ勉強したらしいが、チェンと一緒に変なことを思いつくのがいつものことだ、そして……。

「イーグル、いい話があるんだよー」

 こいつが微笑を浮かべている時は、とっぴょーしもないことを考えている時だ。 

「どんないい話なんだ」

 と僕は言った。

「コロニー管理局長にコネを作る方法さ」

「コロニー管理局長に?」

 コロニー管理局長、簡単に言ってしまえば地球連合政府から送られてくる市長みたいな

ものだ。

「さあ当ててみな」

 とカールは言った。

「もったいぶるのはお前の悪い癖だぞ」

 とチェンは横から入って来た。

「しっかたないか、話そう そ・れ・は」

「探偵になるんだよ」

「探偵、なんだそれ」

 とチェンは言った。僕は知っていた、自主的参加の保安官といったところのはずだ。芸能人や作家等の直接生活に必要のない職が少ないコロニーじゃ知ってなくても不思議じゃない。そうゆうのは地球からの情報や本や映画にたよるしかない。

「おい、おい探偵をしらない? チェン」

 カールは腹をかかえてわらった。

 ここで『チェンが長くからかわれそうだな』と思ったので僕は、チェンにひそひそと教えた。 

「イーグル、教えたらダメじゃないか!」

「チェンこんなことは常識のうちだ。もう少し世間のことにも詳しくならなきゃ」

『まったくカールは口が悪いなぁ。しかしチェンも時々抜けることがある、困ったことだ』

 それから僕らは管理局長に申請書をだし、それが通った後、いろいろ適性審査をされた。

やっと審査は通ったが僕は学力がいまいちで、カールも同じ、チェンは体力的にいまいちだった。

 それから二ヶ月間武器の扱い方や鍵開け技術や忍び足やトラップの解除の方法、宇宙艇

の操縦方法などを学んだ。僕はもともと身が軽く勘が鋭いほうなので、軽装備で前衛、カールはちょっと重装備で技術屋。チェンはその頭脳をいかして後衛で狙撃手となった。

 そして初仕事、任務は妙な部品を集めている研究所の調査だ。僕らは宇宙艇シュ―ティングスター号(流星号)に乗って研究所のあるコロニー1に向かった。

 そして夜のこと、僕達の衣服は工場の作業着の様なちょっと灰色ぽい色で、その服に着替えて、そして夜のこと僕らは裏に回って塀をよじのぼって中へ入って。そこまでは順調だったのだが、中でばったりと巡回中の警備員に出会ってしまった。

「お前達、ここでなにをしている!」

 その後ここになぜいるかいろいろ質問された、しかたがないので事情をなるべくわかるように説明した。初めは半信半疑で不思議そうにしていたがなんとかわかってくれた。

「この研究所でそんなことが行われているとは……」

と言って、その後いろいろと研究所のことについて話してくれた。

 一番怪しいのは地下にある厳重にロックされた部屋らしい。さっそく僕達はその部屋に

向かった。

「さてと、はずすとするかこんなのちょちょいのちょいさ」

 と言ってカールはその部屋のロックを外してしまった。

「お前、泥棒になれるよ」

 とチェンがぼそっとつぶやいた。

「これも正義のためさ」

 とにこにこ笑っているカールを見てまたチェンが、

「楽しくてしかたなさそうだな」

 その後も問答が続いたので僕が、

「いい加減にしろ」

 と言って、部屋に入った。

 中は書類が乱雑に散らばっていた。その書

類を集めて中に書いてある内容についてカールと二人で考えたがさっぱりわからない。そこでチェンが、

「どれどれ」

と言って、読み始めた。そしてじっと考えこみ始めた。

「……タイムマシン?」とチェンはつぶやいた。その時!

 扉を開けて一人の研究者が入って来た。

「貴様たち、何をしている」

カールが言った。

「お前の悪事を調べに来たのさ」

 その研究者の顔は真っ青になった。

 その研究者は逃げ出そうとしたが、僕がとっさに組みついた。カールも加勢して取り押さえた。

 チェンが中に入って来て質問をした。

「なぜ、秘密裏にこんな研究をしていたんだ?」

「なぜ、タイムマシンの研究をしてますと報告しなかったんだ?」

「悪い夢を見たのさ、自分の力で歴史を自由にあやつろうと考えたのさ」

 とカールは言い放った。

 研究者は図星だったらしく何も反論しなかった。

 翌日、ロック保安官に研究者を引き渡した。

 僕は思う、人が時間を操れた時、何を夢見るのだろうか? 遠い未来に行き神に限りなく近づいた人に会いに行くのだろうか? 過去、宇宙が生まれる前に行き、そこで創造主に会うのだろうか?

 チェンとカールがまた軽口を叩いていた。

「タイムマシンを作って時間犯罪をしようとしてたのか。まったくえらいことを考えるものだ。もし時間犯罪がおこなわれたらどうなるのだろう?」

 とチェンがカールに言った。

「ばかだなそういう時はアニメではタイムパトロールがやって来て犯罪者をやっつけることになっているんだよ」

 とカールは答えた。

             第1話 完

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