第12話 The end is the beginning.


ようやく締め切りのある仕事を提出し終え、一息つこうと思ったところで、本棚に並ぶ一冊の本が目にとまりました。


Screenplayの『キャスト・アウェイ』です。



映画のセリフを、見開き左頁には英文を、右頁には和文を載せたシリーズで、大学生のころに購入したものです。




『キャスト・アウェイ』はトム・ハンクス主演の映画で、輸送会社のフェデックスに勤務する主人公チャックが、墜落事故から無人島に漂流し、再び島から脱出して帰ってくるストーリーです。




カクヨムの皆さんなら「フラグキター!」と仰るでしょうが(笑)、




チャックは飛行機に搭乗する前に恋人のケリーに一つの箱を手渡します。


普通のプレゼントではなく、大晦日に二人で開けたい。そこで大事なメッセージを伝えたい。


……もうおわかりですね。プロポーズの予告です。



しかし、チャックの乗った飛行機は墜落してしまいます。


捜索隊が出ますが、チャックの生死もわからない。



その時のケリーの気持ちはいかばかりだったことでしょう。





無人島から戻ってきたチャックが、恋人のケリーと再会するシーンにはとても切なくなります。



もうケリーは……。と、ここから先はネタバレですね。ですが、胸を打つシーンはこの後に。




チャックは言います。



――ぼくは彼女をもう一度失ってしまった。ケリーを失って、とても悲しいよ。


でも、彼女の写真があの島で一緒にいてくれたことにとても感謝している。それで、今、どうすればいいか、わかるんだ。生きていかなければと。なぜなら、明日、太陽は昇る。潮流が何を運んで来るかは誰もわからないだろう?!(p131)




無人島での漂流生活。生きていく希望だったのは彼女の写真だったのでしょう。


でもその彼女を失ってしまった……。


それでもなお、生きていかなければとチャックは言います。



だって自分のところに、明日は何かが訪れるのかもしれないじゃないか――。







3月31日の昨日で3月は終わり。今日からは新年度です。



The end is the beginning. ――終わりは始まり。



皆さんのところにも新しい出会いが訪れますように。

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