第3話


やっとのことで追いついたときその子に声をかけようとしたその瞬間信じられない言葉が聞こえた。

その子は、複数人の女たちの集団に混じりたまたま知り合いでも見つけたのかと思ったが聞こえてきたのは、綾斗へ対する数多くの汚い罵声に溢れ返る言葉ばかりであった。

思わず物陰に隠れ耳を塞ぐ、今起きている現象に思考が追い付けないでいた。

あんなに嬉しそうに今まで純粋そうな醜い笑顔で俺から綾斗の隣を奪ったくせに本当はなにもかも嘘だったのか。

遊びで付き合って綾斗が本気にしているのを面白がって馬鹿にしたかっただけなのか。

……腐ってる……

こんなのいくらなんでも酷すぎる。

あんな性根の腐った豚共が綾斗の側に綾斗の隣に立つ資格なんてないはずだ。

なんで、あんなやつのためになんで俺が身を引かなくてはいけなかったのだ。

今まで全て綾斗ためだと思ってやって来たのに……

馬鹿だな……俺って本当ただ言い訳して綾斗から逃げてただけなのか。

自分が傷つきたくないからって本当は諦めてないのに勝手にカッコつけて勝手に失恋して勝手に自己満足して、何が綾斗のためだ。


ほとんど自分のためじゃないか……


嗚呼、馬鹿らしい

嗚呼、くだらない

嗚呼、……


目障りだ



まるで頭をバットか何かで殴られたような衝撃的な事ばかりで物陰に隠れていると、耳にまだあの猿のような甲高い声が聞こえた。

「あ、でも綾斗君の幼馴染みとか言ってた

人がいてね。

私的あの人は超タイプだったなぁ~」

……

嬉しくない、虫酸が走るような言葉だったここまで吐き気のする言葉他にあるだろうか耳が腐りそうだ。

幼馴染みといったら、間違いない……あの豚が言っている人物は自分の事だと知り、最初は怒りや悔しさで感情が積もり吐き出してしまいそうだったがその一言を聞きあることを思いついた。

少したってから、豚共から見つからないようにその場から立ち去り何事も無かったようにその日を終えた。

……

あれから、綾斗からの連絡は来ていない、きっとまだあの豚に遊ばれ良いようにされているのだろう、汚らわしいあんなやつがのうのうと俺の綾斗に触れていると思うとそれだけで、腸が煮えくりかえそうだ。

そういえば綾斗からよくノロケ話で聞いたことを思い出した、あの豚はよく家に遊びに来ると言っていた、まさか綾斗の体を喰ってから捨てる気なのだろうか何処までも腐った汚い雌豚だ。

俺は、家から適当に土産になりそうな物を持ち運び隣の綾斗家へと向かった、適当に話をつければ大抵あいつの事だすぐに家に招くはずだ、案の定予想は当たり家の中へと入ると見慣れたはずの家からきっとあの女の臭いだろうそれが混じり変な違和感を覚えた。

「湊から来るなんて珍しいな

あいつもいるけど

まぁ今日ぐらいゆっくりしてけよ」

「いや、さすがにいずらいわ、

ちょっと話すだけで勘弁してくれな」

そう言うと少々残念そうな表情をする、この顔はいつ見ても小動物のようでかわいいと思えた。あの豚に絶対やるものか、元から綾斗は俺のなんだから。

そうして部屋へと入れられそこには待っていましたとばかりにあの豚がいた。

憎たらしく、あの純粋そうな笑顔で迎えられ俺も笑顔でその子との会話を楽しんで見るように見せた。

綾斗が少しその場からいなった瞬間つかさず俺は、その女の手に用意していた自分の連絡先を書いた紙を渡した、最初はちょどって見せたが気があるように見せかけると女は、なに言わず嬉しそうににやけた面で俺の連絡先を服の中へと隠した、これで後は連絡を待つのみ役目を終え俺は、部屋から出ていき綾斗には適当に理由をつけてくれと言い帰った。

こうも簡単にいくと返って怖いがやはりあの女は綾斗なんてどうとも思っていない、もうあきらめたりなんてするもんか、だって綾斗は俺のなんだから……

「またね、返事楽しみ待ってるから」


部屋に戻ってから携帯の端末から見知らぬ相手から連絡がきた、内容的にあの豚だと気づいた。

良い豚が見事に罠にかかってくれた。


さぁ、後の楽しみはこれからだ。

俺から綾斗を一度奪った罰だよ。



沢山嘘で愛して消してあげる。


そうして俺は、端末のメールに返事をし思わず口元を緩ませた。

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