――ボイスレコーダー②――


 ZOウィルスにより、ゾンビへとなるのはどうやら人間だけのようだ。

 世界最高峰の『BSLバイオセーフティーレベル-4』実験室がある箱根感染症研究所が言うのだから信じてもいいだろう。

 

 私はそれを知ったとき、ノロウィルスを頭に過らせた。

 ノロウィルスも人間以外には感染しないのだからな。

 汚染された牡蠣カキが主な原因となるノロウィルス感染症だが、しかし『リスクグループ2』のノロウィルスと、『リスクグループ4』のZOウィルスを同列にしては駄目だろう。


 ゾンビになってしまったあとでは『対処療法』など無意味。

 人間としての生命活動が終わっているゾンビには、別次元の対策が必要となってくるのだ。


 武器によるゾンビの掃討。

 真っ先に思いつくのは、それだ。

 実際、手っ取り早い解決の仕方だ。誰も反対するものなどいないだろう。


 ……しかし考えてもみてくれたまえ。

 かれらゾンビは元々人間だったのだ。

 無から生まれた怪物でも別世界からの侵略者でもない、同じ尊厳を共有する同胞だったのだ。


 何か別の――そう、殺す必要ない方法を模索するべきではないのだろうか。





 ◆第15.5話 『MEMORY――ある日の決断』へ続く。 

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