・・

 「あの…あなた私にぶつかった人…ですよね?」


 頭にハテナマークが浮かんだ。

道端の曲がり角でぶつかったとしても、いちいちその相手の事を覚えているだろうか?

ぶつかったのが好みの異性なら覚えてるかもしれないが…、俺の見た目は今までいろんな人に言われてきた事を参考にすると、中の下ぐらいだと思う。

「寄宮くんってキモくね?」

「え~あたしはあの素朴な感じけっこうカッコいいと思うけど~」

などと着る服によってキモいダサいか普通と真ん中ぐらいの評価をされてきた。


 「あの…、私のせいですみません!」

と目の前の女性の一言で回想からふと我に返った。

 「あのすみません、どこでぶつかった人か覚えてないです」

と言うと

 「屋上、飛び降り…って言ったら分かりますよね…?」


 もしかして俺が引っ越しそうそう打撲する原因になったあの…。

しかし看護師さんによれば飛び降りた人は死んだはず…。

じゃあこの女性は?


 「飛び降りた人は死んだはずです。あなたはその人の友人でしょうか?」

と訪ねると彼女は意味不明で完全に頭の痛い発言をした。

 「私…確かに死にました。私…幽霊です。あなたに頼み事があって…」


 俺は玄関のドアを閉めた。


 飛び降りて死んだ人間が幽霊になって訪れてきた?

夢でも見てるのかもしれない。

それか彼女は友人を亡くして現実逃避しているのかも…。


 「すみません!!話を聞いて下さい!!」


 彼女の声が響いた。

現実逃避から現実を受け入れられるよう話を聞くだけ聞いてみる事にした。


 「失礼します」

と彼女は靴を脱ぎリビングに正座して頭を下げた。

とその前に仕事に行かなくてはいけないので先に

 「仕事に行かなくちゃいけないから10分しか話きけないけど、大丈夫ですか?」

と言うと彼女は下を向いてから再び上を向き話し出した。

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