番外編「隆生と優美子」

「隆生……」

 優美子は眠っている隆生を見つめながら涙を浮かべていた。

「たとえ目が覚めても俺達の事は覚えてないのか、なあ?」


「う、う」

「隆生?」


「ここどこ? 暗いよ……」

 隆生は何か恐ろしい夢でも見ているのか、酷くうなされていた。

「しっかりしろ!」

 優美子は隆生の手を握って叫んだ。

 すると

「……助けて、姉ちゃん」

「え、俺の事を呼んだ?」

 

「怖いよ……寒いよ」

 隆生はガチガチと震えていた。

「……よし」

 優美子はベッドの中に入って隆生に寄り添い、そっとその体を抱きしめた。

「俺はここにいるぞ、だから安心しろ」

 優美子の声が聞こえたのか、隆生の震えは止まり、スウスウと寝息を立て始めた。


「ふふ、そういえば子供の頃もこんな事があったな。隆生が『怖い夢を見て眠れない』と俺の布団に入ってきて一緒に寝たもんだな」

 優美子は隆生の寝顔を見ながら呟いた。



 ……俺はヒトシの姉の生まれ変わり、隆生は言うまでもなくヒトシの生まれ変わりだよな。

 前世の俺は生まれてすぐ死んだみたいだが、今は「姉弟のように」一緒だ。


 そんな事聞いたら……なんだかな。



 そして優美子もいつの間にか寝てしまった。



 

 その後は本編で。

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