番外編「ユカとメル」
ミルとユカはハルフェから充てがわれた部屋で漫画を書く事になった。
「ユカおう、ユカお姉ちゃん、あのね……って感じで書くから、お願いね」
彼女はちょっと言葉に詰まりながらユカに諸々の説明をした。
「うん。わかったわ。メル」
ユカは彼女を「メル」と呼んだ。
「お姉ちゃん、あたしミルだよ?」
「わからないと思ってるの?」
ユカは真剣な目つきで彼女を睨んだ。
「あ……もう、何でわかるのよ~!?」
彼女、メルはミルの口調をやめて地で話しだした。
「雰囲気ですぐわかったわ。メル、久しぶり……そしてありがとう、ごめんなさい」
ユカはメルに向かって頭を下げた。
「もう王女様、顔上げてよ。あたしは皆を守れてよかったと思ってるんだから」
「うん……あ、メルってライアス叔父様の奥さんだから、わたしの」
「王女様、それ以上言ったら殴るわよ。今までどおりメルって呼んで」
メルは顔は笑っていたが、目は笑っていなかった。
「う、うん……あの、それじゃせめてわたしの事は呼び捨てにして」
「え、うーん、わかったわおう、いえユカ」
その後二人は合間に思い出話に花を咲かせ、翌朝漫画を完成させた。
そして
「何度読んでも素晴らしいわね。でもこれ、もしメルさん一人で書いてたら合格と思える程にはならなかったでしょうね、ふふ」
皆が旅立った後、ハルフェは一人その漫画を読みながら呟いた。
ええ、ユカと二人で思いを込めたからですよね。
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