第2話


 次の日の朝、僕の家に数人の警察が来たことを憶えている。1階建ての一軒家の前に、5人ほどの警察官が集まった。

 そして、“平田正紀が自室で殺されていた"、ということと、その容疑者として“僕"が挙がった、ということを告げられた。話によると被害者の部屋に落ちていた毛髪が僕の"DNA"と一致したものがあったという理由だそうだ。




 しかしおかしい。




 僕は殺していない。





 僕は正則と駅で別れたあと、すぐに電車に乗って家に帰り、リビングでテレビを見た。死亡推定時刻は、ちょうど僕が家に帰ってきた時刻と一致していた。つまり僕には“アリバイ”があったのだ。


 何より、僕が彼を殺す理由がまったくない。




 黙り込んでいる僕に対し、警察は執拗に任意同行を求めてきた。

 そのときの僕には、どうすることもできなかったのだ。

 僕は警察に捕まった。









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