とある少女との出会い
今朝、僕はいつものように目を覚ました
僕はベッドの上で軽くストレッチをしてから、家族を起こすために自分の部屋を出た
家族の中では僕が1番早起きで、毎日家族を起こすのは僕の役目となっている
まずは母さんを起こしに部屋に向かった
僕は気がついた。目覚ましがなりっぱなしなのだ
普段なら既に音を止めて二度寝に入っているはずだ。とりあえず、僕はノックをした
「母さん、朝だよ。そろそろ起きないと」
反応は無い。目覚ましがなり止む様子も無い
僕は起こす為に部屋に入った
「あれ…?」
母さんがいなかった。珍しく早く起きたのかと思ったが、仕事用のバッグは置いたままで、スーツもクローゼットに掛けられたままだった
「もう下にいるのかな」
そう思った僕は確認するために下へと降りた
しかし、下にも母さんの姿は無かった
僕は流石に何かがおかしいと思い、妹を起こしに急ぎ足で部屋に向かった
妹の部屋に辿り着き、まずはノック
反応は無い。僕は躊躇うこと無く部屋に入った
先程と同様、妹の姿も無かった
僕は焦った
(まさか、誘拐?)
その可能性を疑ったが
(いや、誘拐なら全く物音を立てずに出来るはずがない)
とりあえず、誘拐の線は薄いと見て保留
続いて既に出かけている可能性だが、服が取り出された様子は無いので有り得ない
僕には全く分からない。何故、2人ともいないのか。僕は何か情報が無いかテレビをつけた
しかし、何も映らなかった。画面には砂嵐のみ映っている
「こうなったらダメ元で外を探すしかないか…」
僕は動きやすい服装に着替え、急いで外へ出た
「何なんだ…これは?」
外へ出た僕を待ち構えていたのは
人の気配が全く無い、静かな世界
しかし、ある違和感に気が付いた
全ての車が道路の真ん中で止まっているのだ
車だけではない。新聞配達の為のバイクもそこら辺に横たわっている
僕は人がいないかどうか確認するために
お隣さんを訪ねた
まずはインターホンを押してみる。反応が無い
次に大声で
「すみません!どなたかいらっしゃいますか!?」
しかし、反応が無い
他の家もあたって見たが結果は全て変わらなかった
ドッキリの類にしては度が過ぎている
僕は昨日の会話を唐突に思い出した
友人が話題に持ちかけてきたあの話
『明日、世界が滅びる』
まさか、それが現実に?実にバカバカしい
しかし、世界が滅んだとなると、この状況も頷けない訳でもない
僕は人がいないかと街の方へ出た
そこに広がっていたのは
完全に荒廃した世界だった
道路はひび割れ、ガラスというガラスはほぼ全て割れていた
しかし、ある事に気が付いた
電気や水道といったライフラインが生きているのだ。これならしばらくは大丈夫だなと思った。いや、よく無い。大事な案件が残っている
しかし、ここまで来るのに人ひとり見かけていない
「やっぱり、世界は滅んだ…のか?」
しかし、世界が滅んだのなら一つの疑問が浮上する。何故、僕だけ生き残っているのか
世界が滅んだのなら僕は本来ならここにいない人間のはず。にも関わらず、僕は変わらずここに存在している。この事が僕をますます混乱させた
とりあえず、無駄とはわかっていながら、他に人がいないかを探すために僕は再び進んだ
そんな時、どこからともなく何かが聞こえた
(声…?)
耳を澄ましてみると、それは歌であった
(誰かいるのか…?)
僕はホッとした。何の宛もなくさまようのは流石にリスクが大きい
僕は歌が聴こえる方へと急ぎ足で向かった
歌の聴こえる場所にたどり着いた僕が見たのは
「〜♪」
歌を口ずさむ1人の少女だった
少女は朝日を浴びて輝く銀髪に、雪のように白い肌をしていた
僕は思わず見とれてしまった
そんな僕に気が付いたのか、少女は歌うのをやめてゆっくりと目を開いた
とても綺麗な碧眼をしていた。それも、僕の瞳のようにくすんだ青では無く、果てしなく広がる空のように美しい青だった
少女は小さくあくびをすると
「あなたは誰?」
僕にそう聞いてきた
「僕は…
「そう…颯希…か。いい名前だね。響きがとても綺麗」
そう言われるのは初めてだった。小学校の頃は女みたいな名前だなとずっとからかわれていたため、そういった感想はとても新鮮だった
「そういう君は?」
僕は少女の質問をそのまま返した
「私?私は
誰もいないと思っていた世界。でも僕は確かに出会った。僕以外の人間に
世界は突然、終わりました 清桜 いのり @Inori168
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