世界は突然、終わりました

清桜 いのり

終わりを迎える世界

 僕は、誰の目から見てもつまらない人間だった

 髪型はくせっ毛気味、常に眠たげな目つき、背はそこそこ、指は細く、肌は他の人間に比べて白い

 唯一特徴があるとすれば目の色

 祖父がロシア人である為、その影響で目の色は海のように深い青色だった

 外見は目の色を除けばこれと言った特徴がない

 性格はとても大人しく、大勢でいるのは好きでは無い

 趣味を挙げるとすれば、読書と必要最低限の護身の為に習い始めた軍隊格闘術くらいだ。

 勉強は授業をしっかり聞いてきっちりノートを取っているだけ。成績は中の上。運動神経は軍隊格闘術をやっている関係で他の人間よりは高い。しかし、目立つのが嫌いな僕は変に凄い記録は出さずに平均的な記録しか出さない。

 こういった点もまた、僕という人間をつまらなくしている要因の一つだろう

 友人はそこそこいる。話す内容は自分が気になったニュースや最近出会ったちょっとした面白い出来事など。この時間は僕にとっては貴重な時間である

 僕はよく居るクラスの人気者の位置にいる人間が苦手であった

 と言うのも、彼らは、越えて欲しくないゾーンを越えて接してくる

 僕は必要以上に他者とはコミニュケーションは取ろうとはしない。だが、彼らにそんな僕の心境を察する事が出来るはずも無く、構わずに話しかけてくる。自分から話しかけておきながら、僕の反応が悪ければ、彼らは勝手に僕を責め立てる。そもそも、僕と彼らではベクトルが違い過ぎるのだ。穏やかに日々を過ごしたい人間と、毎日を楽しく生きたい人間同士が噛み合うはずが無いのだ

 こういったドライな考えを持っている点もまた、僕という人間をつまらなく見せている要因である


 話は変わるが、僕はいつものように友人と会話を楽しんでいた

 その話の最中に、友人がある話題に話を切り替えた


「なぁ、ネットでこんな事が話題になっていたんだ。気になるか?」


「ん?どんな事が話題になっていたんだ?」


「それがな、"明日、世界は滅びます"という投稿がSNSでみんな一斉に投稿したんだよ。」


 それを聞いて僕はバカバカしく思った


「そんなの、よくあるネタだろ。どうせ暇な奴らが面白おかしくやったんだろ。」


「それがさ、規模がおかしいんだよ」


「規模?」


「そう、全世界で何100万という人が一斉にやったんだよ。しかも、有名人までもが。」


 それを聞いて僕も僅かだが興味を抱いた


「へぇ、そんなにか。悪ふざけにしては度が過ぎているな。」


「だろ?」


 確かにおかしい。SNSではこういった面白おかしく書いた投稿が頻繁に投稿される。だが、何100万人という規模になるとは一体どういう事なのだろうか。そんな事を考えていると


「もしかして、本当に明日滅んだりしてな。」


 友人はそんな冗談を言った。

 僕もそれに乗って


「ああ、本当にそうだったら今のうちにしたい事をすべきだな。」


 そう答えた。

 その後、いつものように時間を過ごし。そして、家に帰ると日課であるトレーニングと読書をし、夕食を終え、シャワーを浴びて、床に着いた。


(本当に滅んだりしてな…)


 僕はベッドの中でそんな事を考え


(まぁ、あるわけないよな)


 そう心の中で呟いて1日を終えた。


 翌日、僕が目を醒ますと世界は本当に滅んでいた

 世界中の人間が何処かへと姿を消した

 僕だけを残して

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