第九話

次の日。

本鈴がなる30分前に来た僕は、同じ学年の下駄箱の名前を確認していた。

勿論あのアドレス『kouki.n0416@×××』

が誰の物か探るためだ。一応自分のクラス、三年C組を見終わり、次にD組を見始めた。


「滝本 妖、手沢 悠、中岡 亮…あ。」


順調に進めてた指を止めた。


「中島 光輝」


この人か。たしかにイニシャルの『k』に名前の『kouki』はあっている。どんな奴なんだろうか。ヤクザっぽい人だと、さすがの僕も関わりにくい。メモに名前を書き、ブレザーの裏ポケットにしまい、その場から去ろうとした瞬間。


「ねえ。」


振り返った後ろから声がした。声がする方を見ると、二人の男と、二人のの女。そのうちの1人の女は見たことがあった。天才小説家の瀬戸優月こと久万希望だったはずだ。僕のクラスではやっていたので一冊買って読んでみたが、今までにない恐怖が襲った一冊だった。他にも何冊か出してるみたいだが、怖すぎてもう見ていない。……言っておくけど、僕が怖がりなわけじゃない。あの本が桁外れに怖いだけだ。題名はなんて言ったっけ。確か……、『白が赤に変わる時』だったはず。白いワンピースを着ていた女の話。あの奇妙さと言ったらもう……いや、考えるのはよそう。あの本は本当に怖いのだ。もう一回言うが、僕が怖がりだからじゃない。一番重要だ。


正気を取り戻し真っ直ぐを見ると声をかけてきた男がまた話し出した。


「ねえ、誰だか知らねぇけど、俺の下駄箱になんか用か?」


俺のってことはこの人が中島光輝か。ヤクザじゃなくてよかった。その隣にいた男もなにか話したそうだった。けど、なんか面倒なことになるのが嫌だったから一言話して去ったやった。


「別に用なんてない。」



少し離れたところでさっきの声が聞こえた。


「なんか冷たかったね。」


久万だ。意外と素直なんだな。さすが学年トップの成績。敵を恐れていない。



予鈴が鳴り席に着く。中島光輝、Elzaとは一見関係は無さそうだった。じゃあ何故、Elzaからのメールがアイツのメールアドレスから送られてきたのか。あくまでも予想だが、で何かが変わる中心の人物。曰く重要人物ということなのか?

まさか、関係ないとしか思えない。かと言って、まだ数分しか話してないのだから、断言出来ることではないが……。または、あいつもこの世界がどうなっているのかを知っている?そこまでは考えすぎか。この先のこと、今生きてる人間が知るはずない。けど、そんな事言ったら僕はどうなるんだって話だけどな。笑えてくる。


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