もうひとつの日常
第六話
僕は手元にあるキーボードで文字を打ち込みながら、目の前にある少し大きめの画面に食らいついていた。画面に写るのは計画書。もう少し細かく言えば、銀行強盗の計画書だ。
『濱本広助__僕は現在中学三年生の15歳。高校受験は希望していないから、冬は有意義に使う予定だ。とりあえず今の望みは全人類がハッピーエンドを迎えられること。意味深だが僕の人生の最後の願いだ。よくそんな大胆なことを考えるね。よく言われるんだ。けれどね、僕は案外人のためなら、なんだってやるんだよ?』
___「よしできた。」
12月の中盤。エアコンが効きすぎて暑いのか寒いのかも解らないこの部屋に、外からは少し眩しい木漏れ日が僕の足元を照らしていた。朝からパソコンをやるのは慣れてない。まだ寝たりない。今日はもちろん普通の平日。それにまだ冬休みも入っていない。なのに今時計を見れば朝の10時。この時間を平日に部屋で見ると変な感じがする。……僕は今日学校を休んだ。勿論パソコンを朝からやっていたんだし、本当に体調が悪いとかじゃないんだけれど結論に戻せば、今日は学校を体調不良で休んだ。まあ……曰くズル休みだね。
もう一度さっき完成させた計画書を画面に広げた。自分で言うのもなんだけれど、これは芸術作品と言っても良い。そうだ、僕の自信作だ。
完璧に盗める手立て、そこまでにたどり着く経路。それに僕だったらこのくらいで進めるという時間計算もセットだ。まあ何より、中学三年生の15歳がこんな大胆な計画を完璧にこなすのが一番世界が混乱するところだ。
どうして僕がこんな計画をたてたのか。勿論そりゃ無意味でやるわけではないよ。ちゃんと理由はあるんだ。なかったらもう犯罪丸出しだもんね。だからと言ってやって良い犯罪があると言っても違うけれど………やめたやめた。なんかごちゃごちゃになって面倒臭い。僕は確認するかのようにもう一度計画書を保存して、ウィンドウを閉じた。そして隣にあったカレンダーに目を向けた。
「あと少しだ。」
とか呟いてまたベッドに飛び入った。まだ寝たりない。こんなに疲れる日があるものか。今だったらいくらでも寝れる気がする。でもだめだね。それはもう少し後にとっておこう。今日の二度寝は2,3時間くらいで良いや。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます