第五話


「ただいまー」


「兄貴、おかえりなさーい。」


「なんだ恋歌、帰ってたのか。」


「なによ。いつ帰ったって良いじゃない。」


相変わらず冷たいなと言いながら上の階へ上がる。恋歌も部屋に戻ろうとしてるのか、俺の後ろを歩いていた。


「兄貴は高校どこにいきたいの。」


急に妹が聞いてきた。たぶん僕の成績に関して非常に心配している現れ。ツンデレと混じっていて、優しさなのか見下しているのかよく解らない。


「んなもん三者面談とっくに終わったぞ?俺は、志崎ヶ丘高等学校だっつーの。」


たしかこれ一回、教室で皆と話したことがあるな。俺のいきたいところは極平凡な所だけど、たしか久万とか健斗が行きたいって言っていたところ、どこだっけ、あれだよ、あれ。……そうそう、海央高等学校だったかな。尋常じゃない頭の良さが自慢のところ。偏差値いくつだったかな、たしか……70くらい?もっと上だったか下だったか覚えてないけど、頭が良いところって言うのには変わりはない。僕には無理だけど、久万だったら入れそうだな。健斗は……解んないな。



「そう。ならいいわ。」


それだけを残し、階段を上っている途中で止まった俺を抜かし、スタスタと歩いて行ってしまった。


俺も部屋に入り、思いっきりベッドに跳び入った。今日は普段より疲れた。体が朝からずっと重かった。そしたらいつのまにか目を閉じていた。

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