第二話
と、思ったけど、丁度良いタイミングで「ぎゅるるるる…」と腹が悲鳴をあげてしまった。とりあえず先に一階に降りて台所へ向かった。冷蔵庫を開ける。朝一番の冷たい水を喉に流し込む。ウマイ。すると上から降りてくる足音が聞こえてきた。父さんが上から降りてきたんだな。
「あら、光輝。起きてたの?おはよう」
チッ。母さんか。ハズレた勢いではぁっとため息をつく。だめだ。ため息をついてしまった。今日は運が逃げていく一日になってしまう。少し気になって、丁度ニュースとかでやっている占いを見てみようと、リモコンを手にとって電源をいれた。
「おはようございます。現在渋谷に来ていますが、このようにとても清々しい朝日に満たされておりますが、とても風が冷たく本格的に冬にはいった。といえるくらいの寒さになっています。今日も一日中、関東地方は晴れになる予定ですが、昼頃になると来た風が吹く恐れがあるので、コートが必要になる一日かもしれません。また、最近流行り始めている、インフルエンザ、ノロウイルス等にはくれぐれもご注意ください。続いて東北地方です…」
「母さん、今年はインフル気を付けてよな。去年母さんがかかったせいで家族全員インフル移ったんだからな。」
「去年?3年前の話じゃない。今年は仕事以外、大きな用事がない限り外に出ないことにしたし、うがいだってたくさんしてるわ。大丈夫よ」
3年前か…いや、母さん怖えよ!薄着の格好で寝てるのバレバレだよ説得力がねえ。今年も中島一家はおそらくインフルで充満する模様だ。けどあんな気持ち悪い想いもうしたくなかった。大丈夫かよ僕の家。おっといけないいけない。口が少し悪くなってきてる。視線をテレビに戻して恐る恐るdボタンを押した。本日の占いとなっている場所を十字キーで移動して決定ボタンを押す。数秒たって画面が開いた。今思ったが、朝誰が降りてくるかを当て損ねただけで、ここまで真剣になってるのもおかしいんじゃないか。今日はテンションが変だ。なんと言うかグダグダだなぁ。
僕は4月生まれで、11位だった。
かなりランキングが低かった。この不運の予感だけ当たってるのはついてると言うのかある意味すごいような。詳細の欄には決断を早まらないでとかいてある。なんでだ、最近の占いってそこまで当てられるのか。それって科学の力じゃないような……
それよりも、僕の運より低いランキング…12位の月は7月だったんだけれど、………母さん。
だめだこれは。今日にでも中島家インフル充満だ。終わったな。いや、やめてくれ、母さん。
「母さん。今日仕事は?」
「仕事ー?あるわよ?今日は集まりがあって、たくさん人が来るんですって。」
もう手遅れのようだ。
あぁ、もうランキング1位の9月がうらやましいくらいだ。恋歌、砕け散ろうぜ。なに堂々と1位とってるんだよ……
「なに一人ではしゃいで占いなんかみてんの?」
「だって僕今日!11位だぞ!?……ってなんだ、恋歌いたのか。いたんなら声くらいかけろよ」
「そんなこといってんじゃないわよ気持ち悪い。私が言ってるのは、独り言を呟いてるとき、兄貴が自分のこと僕って言ってたことよ。」
バレてた。僕は心のなかで、俺ではなく僕と言って考えている。心の中まで俺とか言ってたら、あの先輩みたいにヤンキーになりそうだからな……。言葉遣いが悪くなって無理矢理僕とか言ってても、グダグダで気持ち悪いだけなのは自覚してるんだぞ。だめだ。この事も考えるのは止めよう。
結局まとめると、今日一日良いこと無いようだ。妹に僕とバレて、降りてくる人を間違え、謎にたくさん寝たと勘違いしてるくらいなんだからな。安静にしよう、今日はきっと空回りするしな。もしかしてあの実験の失態の記憶も自分に被害が及ぶかもしれないしな。
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