第2話 成果主義の時代?の巻
この頃、会社は古き良き年功序列制度を見直して、成果主義へと移行していった。しかし、洋一のいる開発課でも、一体何が成果なのか、誰にもよく分からない。課長は、会社から管理職用に支給された評価マニュアルを毎日眺めながら、ため息ばかりついていた。ともかく、差をつけなければならないのだ。
バ会社員は、そんなことは全く気にせずそれまで通り生きていた。ウドも、それまで通り、判で押したように定時出社、定時退社を繰り返した。キンチャクだけが、大いに変わった。仕事を細かく分割し、一つ一つの段階にきれいな飾りを施しては、その一つ一つを報告書に仕上げていった。まるでキャンディー工場だ。中の飴玉を全部溶かして固めても、それほどの大きさじゃない。でも、すべての小さな飴玉は、それぞれのきれいな衣を身にまとい、不思議なことに、時折社内でキラキラと光り輝くのだ。課長は救われたように、そのきれいな飴玉の皮の数を数えたものだ。
やがて、ボーナス支給日が来た。同期三人で久しぶりに飲みに行った。当然ボーナスの話になる。話をすり合わせてみると、どうやらキンチャクがダントツ一番
で、次にウド、バ会社員は最下位だった。
「フン、つまらんな……」
バ会社員は、今度はさすがに堪(こた)えたが、普段が普段だから文句も言えない。結局何を改めるでもなく、いつも一人マイペースだった。
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