第6話 歯車

―閉鎖病棟にて


―僕はやってない…僕じゃないんだ!貴方方は誰かと間違えているんじゃないか?ねえ、ここから出して…出してください!何のためにここにいるの?どうして!?早く出して…本当に僕は何もしていないんだ


…僕は…僕は…ただ傍観していただけな…ねえ、ボクの可愛いロリータ…ねえ、ここから出してよ…


「また暴れています…鎮静剤を打ちますか?」


「ああ、可哀想だが…」


そんな会話がぼんやりと聴こえる…本当に僕はやってない…ただ傍観していただけなんだ…それを喚き続けていた。


プスッ…針を刺された感覚が一瞬で意識を飛ばす…


―ブラックアウト


気付くとベッドの上。灰色の天井、灰色の壁…見慣れた光景…普段から代わり映えしない、光景…鉄格子から差し込む僅かな光。僕は冷静になる、ならざるを得ない。いつものことだ、催眠や洗脳の解けかけになるとこんな風に錯乱し、元々の人格に戻ってしまう。手首足首はベッドに拘束されている…痛いほどにきつく、ギュッと結び付けられている。


既視感、デジャヴ…昔の嫌な記憶もフラッシュバックする…でも、いつもお兄ちゃんが守ってくれていた…だから、ボクは…僕は…僕は…今度はお兄ちゃんを守る番だ…


I sweared to devote everything for you.


I sweared to devote everything for you.


We shared everything each other, what did we feel, how did we think, every time, every moment. Nobody couldn't identify who is who.


だから、ここにずっとずっといなきゃいけない。お兄ちゃんの代わりに、お兄ちゃんとして…ずっとかかった振りをして、時々解けかけたものより強烈なものをかけられて…時効になるまで待たなければ…本当にいけないのかな…本当にそれでいいのかな…


So I have no idea why this connection changed like this way. We didn't mention at all until this moment directly. I didn't want to recognise, just I wanted to keep denying these facts in front of us.


本当にそれが正しいのかな…


I'll conceal my thoughts forever. . . I hope not to notice those things by my destiny. It's our fate.


ボクはロリータを愛していただけなんだ、無償の愛を彼女に与えていたかっただけなんだ…ボクは無償の愛を見返りとして、受けたかったんだ…


なのに、どうしてそれを邪魔するの?どうして…完璧な愛のカタチを真っ向から否定するの?何がいけないと言うんだい?愛のカタチに見返りや対価を求めることっていけないのかな?みんなしているじゃないか…それは…どうしてダメなんだ、どうして許されないの?


ねえ、どうして…?

そこまで歪んだ愛し方だったのかな?

どこがいけなかったのかな?

ボクには全く見当が付かないな…どうしてだろう…


おかしくて、理不尽で笑いが止まらないよ…こんな風に。どんな感情なのかすらもさえ定かでない、乾いた笑い…


「…っははははは…ははは…」


「また、笑い出しています…気が触れ…」


「きっとそうだろうな、ここに12年もいれば…おかしくもなるだろう…」


「ねえ、ボクと一緒に遊ぼうよ」


「どうしてボクはここにいるの?」


「あれ、ボクのロリータは…ねえ、知らない?どこに行っちゃったの?ねえ、おじさん…知らない?」


「さあ…知らないな。手伝えなくてごめんね」


「そっかあ…知らないんだ…困ったなあ…ありがとう、おじさん」


That's why I sweared to devote everything for you. I'll live for you, so please live for only yourself, I mean instead of me because it's our fate.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る