第5話 一層攻略
Lv1運命共同体をチェルノと結成して、さらに十日ほど修行に明け暮れた。
その間、相棒は何もしてないのに楽しそうだった。
ギルドカードを一応確認する。
クラウス・28365 位
Lv 1・無職・到達階数 : 1 所持金:1,840,000
STR : 8 CON : 8 DEX : 8(+1) AGI : 8 INT : 8 WIS : 8
ATK : (+3)
魔術(火 : Lv1 水 : Lv1 光 : Lv1 闇 : Lv2) 弓術 : Lv1
チェルノ・(契約:魔法生物)
Lv1・液体金属・到達階数 : 0
STR : 0 CON : 6 DEX : 12 AGI : 20 INT : 12 WIS : 15
所持金が減っている。
多分宿泊費だろう……しっかりしてるな。
魔術書『
俺は闇属性に適性があるんだろうか。
サイレントウォークの効果時間は10分ほどらしい。
あとギルドカードにチェルノも乗るようになってた。
彼の能力についてだがまずわかっているのは、
⑴ 武器または防具を一度でも取り込んだことのある装備に変身できる。あと2種類ほどになれる。剣と鎧とか。
⑵ 変身した物の面積と質量は無視できる。一時なら浮かせたりもできる。
重くはできないらしい。なんでよ。
荷物もあまり持てない。
別の空間とかを持ってるわけじゃないんだな。
とりあえず一層のウサギをぶちのめしに行くため、準備を始めることにした。
正直、あの程度の動物に手こずってるようでは先がない。
ここは無難に処理して行きたいところだ。
まずは雑貨屋に寄る。
先月と同じ非常食を買った。
一ヶ月もいるのに、未だ「Lv1」とは情けない。
水は魔法で生成できるので水筒はいらない。
代わりに魔力回復薬を二つかった。
武器屋にも寄った。
矢を500本ほど購入する。これ以上は俺の体力(CON)のせいで持てない。
店員に金属でできたローブなんて物があるのか一応聞いてみたが……無かった。
まあダメ元だ。気にしない。
そういやもう手元の金そろそろなくなりそうだな。
何に使ったのか覚えてないぞ?
また宿屋から出しとかないと。
あとはチェルノの食事だけど、鉄かな。宝石とかだったらどうしよう。
聞いてみた。なんでもいいそうだ。
ダンジョンの宝箱から出るゴミ装備でも食わせとこう。
ちなみに今は短剣になってもらってる。
重くないし、装備してりゃ迷子にもならない。
最後にリチャイムを確認する。
これさえあれば死ぬことは無いんだから。
んじゃま……ウサギ殲滅作戦を決行しますか。
——
0層に到着した俺は迷わず手前の階段を降りた。
入り口が6箇所あるが、違う場所かもしれないからだ。
誰かに聞いてもいいが今はそれどころじゃない。
まずはウサギを狩れないと意味がないのだ。
このフロアは広大すぎて見つけるのにも苦労する。
ちなみに俺とチェルノの索敵能力は同じぐらいだ。
だが二人分あるということは心強い。
『白いのが動いてる』
早速見つけてくれたようだ。
集団活動をしないウサギは狩りやすい。さすが一層といったところか。
すかさずサイレントウォークを詠唱する。
この魔法は俺の周囲から出る音を消す魔法だ。
普通に歩いても何も聞こえない。
ギリギリ射程圏内まで近づいた。
まだ気づかれてはいない。
一匹目は成功させたい所だ。今後のモチベーションに大きく関わってくる。
さらに近づく……やべえ、緊張感がハンパない。
10mって所か……ここからいく。
ウサギの背後から狙い撃つため弓を引く。
しかしでかい……一発で死ぬのか?あれ。
逆上してきたらどうしよう。
めいいっぱい弓を引いて狙いを定め……矢を放った。
目を離さず次の矢を用意した。何度も練習した通りに。
背中に矢が刺さっているウサギが暴れ回わってた。
無心でその後五発ほど矢を放った。
二発ほど外していたが、見ると獲物は動かなくなっていた。
記念すべき初討伐。
かなり嬉しい。思わずニヤけてしまっていた。
弓を手に持ったまま、倒した獲物に近づいて行く。
目の前のウサギは間違いなく死んでいた。
狩りの結果である動物の死といえどやはり心が傷む。
全滅はやめておこうと思った。
その後、ウサギを三匹ほど倒してその日は終了した。
夜にウサギを焼いて食べてみることにした。
食べ物を粗末にしてはいけないのだ。
血抜きとやらが良くわからん。
死んだ時にショートソードで首をはねといた。
一応チェルノに首を斬る許可を貰うとしたら寝てたので無断で切った。
結論から言うと、あんまりうまくなかった。
調理の仕方に問題があると思われる。
だが料理がまずいのなら問題はない。
俺にはいずれ料理してくれる女性が現れるのだから。
十匹ほどウサギを狩って鹿も挑戦してみた。
なかなか死なないだけでやることは同じだった。
ふと思ったがこれってチェルノは成長してるんだろか?
確認すればいいか。
早速ギルドカードを取り出す。
クラウス・28366 位
Lv 7・無職・到達階数 : 1 所持金:1,840,000
STR : 9 CON : 9 DEX : 9(+1) AGI : 9 INT : 9 WIS : 9
ATK : (+3)
魔術(火 : Lv1 水 : Lv1 光 : Lv1 闇 : Lv2) 弓術 : Lv13
チェルノ・(契約:魔法生物)
Lv 6・液体金属・到達階数 : 1
STR : 0 CON : 6 DEX : 13 AGI : 21 INT : 13 WIS : 16
しっかり上がってた……寝てるのに。
弓がLv13に上がっているのが嬉しい。練習しても上がるのか?そういや見てなかった。
なんか……ガンガンレベル上げたくなってきた!
今度は矢をもっと持ってくるかな。500本ほぼ使い切った。
補充したら今度は二階層に降りてみようか。
降りるのは簡単だ。
なぜなら一層に着いたとき、螺旋階段は更に先へと伸びていた。
あれで降りられるのだろう。
螺旋階段が何層まであるかは聞いてはいない。
目の前のことでいっぱいで、そこまで気が回らない。
矢の補充のため一度帰ることにした。
早速『
それを掲げ、ゆっくり回ってみた。
——リーン、リーン・・・
おお。感動した。
壊れてたらどうしようかと思ったが、正常に動いてるみたいだ。
階段に到着するまでに鹿がいたが、残りの矢でしっかり倒した。
下見がてら二階層に向かう階段を下る。
襲ってくる可能性もあるので一応サイレントウォークを掛けておく。
さすがLv2の魔法は高性能。
気合いで覚えててよかった。
しばらくして二層についた。
正直唖然とした。
一層と比べて極端に狭い構造だからだ。
いやフロアが狭いんじゃない、通路が狭い。
降り立った二層の広場からは、やっと人が通れる程度の通路が東西南北に伸びていた。
多分迷路のような構造だろう。
いくらなんでもこれは酷い。
こんなに通路が狭いと、弓の長所である遠距離戦に持ち込めない。
曲がり角で敵と遭遇してしまうと接近戦となるためだ。
心がまた折れそうになった。
あんなに練習した弓が使えないなんて。
どうすればいいんだ。
頭を両手で抱え、膝から崩れそうになった時、
腰に差してあるショートソードが震えた。
『ここはボクの出番だね! 早く帰ってってしゅぎょうしようよ!』
のんきな奴だと思った。
でもまあ確かに……剣で挑めば済む話だ。
さっきまで折れそうになっていた心が、嘘のように消えていた。
そうだ、まだ始まったばかりじゃないか。
俺にはチェルノがいる。全部の装備持って進めばいいじゃないか。
「だな! 早く帰って修行するか!」
何事もなかったかのように階段を上っていく。
ちょっと遠回りするけど、待ってて。
必ず迎えに行くからね。
影も形もない想像の中だけの女性に、今日もクラウスは誓いを立てるのだった。
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