選択

 ハルキは、砂浜の波打ち際で、もう二度と動かないジョシュアに背を預けて座りながら、物思いに耽っていた。


 ノアも、ジークも、他の皆も、誰もいないこの世界で生きることに、なんの意味があるんだ?


 シオンと俺とは、赤の他人同士なんだ。


 そんな二人だけで、どうやって新しい世界を築けっていうんだ?



 答えを求めるように、首から提げているペンダントのトップを開いた。


 生前の家族が写された写真。


 笑っている母親の膨らんだ腹には、ハルキの弟となるはずだった赤子が宿っていた。



 生まれることなく消えていった命、か……。



 ハルキは、その写真を眺めながら、陽が暮れるまで、浜辺に座っていた。


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