再びの迷い
ハルキは、自室に戻り、ベッドに横になって、棚に収められていた文庫本を開いていた。
ノアは、エノシガイオスを自動航行に任せたまま、自室で塞ぎこんでいる。
ジークは、アルツ・ヴィマーナの調子を見てくると、その格納庫に向かった。そのジークも、表には出さないようにしているようだが、やはり気持ちが沈んでいるのを隠しきれてはいなかった。
自分もそうだ。
『
なんとか気を紛らわそうと読書することにしたが、文字を目で追うも、内容が頭に入ってこない。
心の内は、色々な葛藤がせめぎ合っていた。
プラセンタのことは考えないようにしようとしたところで、間近に控えた決戦を避けられるわけでもない。
明日の夜明けには、敵の要塞があるというカリブ海に浮かぶグレナディーン諸島の近海へと到着する予定だ。
だが、敵もそうやすやすと、
そこへと至る前の海域で、
そして、その後ろには、シオンが最強を謳い、自ら搭乗する人型ロボット兵器ニースが控えている。
ジョシュアやエノシガイオス、アルツ・ヴィマーナも、科学の粋を極めて造られた兵器だ。
だが、ニースがどれ程の性能を誇っているかが未知数である以上、どれぐらいやり合えるかは、まったく予想がつかない。
勝っているかもしれないし、互角かもしれないし、劣っているかもしれない。
仮に性能の面で優っていたとしても、同じ
はたして、自分にどれだけやれるだろうか……。
出撃の際は、気分が高揚していたこともあり、吹っ切れたと思っていた。
だが、ここにきて、再び迷いが生まれようとしていた。
プラセンタが『
ハルキは、それを振り払うように、ベッドから跳ね起きると、文庫本をデスクの上に置いて、甲板に出ることにした。夜の潮風を浴びて、少しでも気を晴らしたい。
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