格納庫


 ハルキは、エノシガイオスとヴィマーナの格納庫へとそれぞれ向かったノアとジークと途中で別れ、ジョシュアの格納庫へとやって来た。


 白亜のロボット兵器ジョシュアが中央に鎮座する中、整備員達が忙しなく動き回っており、その中で、整備室長のオスカルがあれこれと指示を出していた。


 ハルキがそのオスカルの元へと向かうと、

「来たか」

 この緊迫した状況下、いつになく引き締まった顔をしている。


「ジョシュアは?」

「今し方準備を終えたところよ。もう万端だ。いつでも出撃OKだぜ」

 オスカルは答えると、「言いたいことは山程あるが、今は話をしてる場合じゃないからな。乗んな」

「はい」

「頑張れよ、落ち零れなんかじゃないってところを、見せつけてやんな」


 励ましを受けながら、ハルキは、ジョシュアのコクピットから伸びるワイヤーリフトに乗った。


     *


 ジョシュアとアルツ・ヴィマーナは、エノシガイオスの中に格納された状態で出撃する手はずになっているため、ハルキの搭乗が済んだ後、そのジョシュアは、エノシガイオスの元へと移送されていた。


 そんな中、ハルキは、ジョシュアと自分の脳波の同調をはかるブレインBコンピューターCインターフェースI・システムを機能させるために、頭部にヘッドギアを嵌めながら、初めて乗るジョシュアのコクピットの感触を確かめていた。


 これが、ジョシュアのコクピット……。


 これまでに、シミュレーターでは、何度となく乗せられたジョシュアのコクピット。

 だが、やはり、実戦を前にして、本物のそれに搭乗するのは、一味も二味も違う。


 俺、ほんとうにジョシュアに乗ってるんだな……。


 実感するとともに、出撃に向けて、高鳴る胸の鼓動。


 それをなんとか鎮めながら、ハルキは、ジョシュアとともに、エノシガイオスの中へと格納されて行った。


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