【Episode:12】 躊躇いの出撃 ―Sortie of Hesitation―

司令長官との対面


 ジークがハンドルを握るマイクロバスで、世界再生機関リバース軍本部へと辿り着くと、三人は、すぐさま作戦本部へと向かわされた。


 今、三人は、通された最上階の司令室で、黒檀のデスクの前に座る司令長官レスリー・ジェラードと向かい合っているところだ。


「君達が、候補生の生き残りである、秋南ハルキ、ノア・ラティスフール・ジークベルト・ブルクハルトの三人だな」

 レスリーが厳かな口調で言う。


「はい!」「はい!」「はい!」

 背筋を伸ばしてその前に立つ三人が、歯切れよく答える。


「うむ。君達には、これより、『Operation Phoenixオペレーション・フィーニクス』を実行に移してもらうことになる。このような事態になり、予定よりだいぶ早められてはしまったものの、その準備は既に終えられている。私はこれから、プラセンタ内に侵入したサーチ・アイの掃討作戦の指揮をとらねばならないから、後のことは、他の者達に任せてある。その者達の指示を仰ぐように」

「はい!」「はい!」「はい!」

「それでは、これより君達には、すぐに格納庫ハンガーへと向かい、それぞれ、ジョシュア、エノシガイオス、アルツ・ヴィマーナに搭乗し、出撃してもらうわけだが、最後に――」

 そこでレスリーは、黒檀のデスクからおもむろに立ち上がると、三人に向かって頭を下げながら、

「頼む。プラセンタを――世界を、救ってくれ」


 その言葉は、司令長官としてではなく、一人の人間としての心からの頼みのように、ハルキには聞こえた。

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