【Episode:05】 労働の報酬 ―The Reword of Lobor―

汗水垂らして


 これだったら、シミュレーション受けてた方がまだましだ……。


 七月も中旬に差しかかった日曜日。

 ハルキは、プラセンタL2区画における拡張工事の現場で、重い資材を運びながら、嘆いていた。


 昨日の土曜、いつものように、監視の裏バイトを頼まれて、セキュリティ・ホールにいるデニスのところに行った際、自分の友人の工事業者が、人手が足りていなくてバイトを探しているから、お前ちょっと手伝ってやらないか、と言われて、バイト代も悪くなかったことから、軽い気持ちで引き受けたのだが、その判断が間違っていたことを、実際にそのバイトをやってみて痛感していた。


 普段持たないような重い建築資材を抱えたり下ろしたりを繰り返し、ハルキの身体は、あちこちが悲鳴を上げていた。

 バイトは夕方まで続く。

 このままでは、身体が持ちそうにない。

 できれば途中で辞めさせてもらいたいが、デニスの顔もあることだし、そうするのも憚られる。


 逡巡しながら辛い作業を続けるハルキに、

「おーい、兄ちゃん、次はそこの鉄パイプ持ってきてくれやー!」

 現場で動く作業員から、次なる指示が飛ぶ。


「はーい!」

 ハルキは、痛む足を引きずりながら、その場へと向かった。


 そんな風に、こき使われながらバイトに従事しているところ、髪を後ろで結わえてポニーテールにした女性がやって来て、

「みなさん、お昼ですよー。そろそろ仕事の手を休めませんかー?」


 助かった……。


 ハルキは、仕事の手を休めて、他の作業員とともに、昼食を摂りに行った。


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