放課後

 ノアとソフィアとともに夕食を摂った日の翌日。

 学校に登校し、いつも通りのカリキュラムを終え、ホームルームが終わって放課後となった。

 窓からは、夕陽が差しこみ、教室を茜色に染めている。


「なあ、ハルキ、今からカホと三人でカラオケ行かね?」

 カホを連れてハルキの席までやって来たアラタに誘われた。


「悪いけど、今日は用事があるんだ」

 ハルキは、申し訳なさげに断った。


「なんだよ、つれないな」

 とアラタが口をすぼめる。


「えー、ハルキ行かないのー? 私達、カラオケ同好会のメンバー同士じゃん」

 とカホも不満げに。


 別にそういう同好会がメサイア高校にあるってわけじゃない。ただ、アラタとカホが勝手にそう名乗っているだけのローカルな同好会でしかない。この前までは、ゲーセン同好会だった。その前は、バッティングセンター同好会。


「最近、一緒に遊んでなかったろ? だから、久しぶりにぱーっと騒ごうと思ってたんだけどな……」

 アラタにしぶるように言われて、

「今日はこの後、例の作戦に向けて一回目の決起集会があるんだよ。候補生カデッツとして、それに出席しないわけにはいかないだろ」

「一回目って、全部で何回やるつもりなの?」

 とカホ。


「明日と、夏休み中と、夏休みが明けて作戦が実行される直前の三回」

「そうなのか……。その作戦が始まったら、暇が中々とれないだろうから、今の内に、って思ったんだけどな……」

 アラタに残念そうに言われて、

「悪いな。また今度埋め合わせするから」


 ハルキは答えると、「それじゃあな。今日は二人だけで楽しくやってくれ」とスクールバッグを抱えて教室を出た。



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