ゴルゴちゃん13才、餃子の王将に行く。14


 小瓶にはなにも書かれていないが、マジックパウダーの成分は塩とコショウ、それに──隠し味があるようだ。


 普通の味塩コショウだと、化学調味料が入って終わりだが、それ以外のなにかがあるのをゴルゴちゃんの舌が鋭敏に感じ取っていた。


 気になる。


 ──あの情報屋に依頼すれば、きっとすぐに調べ上げるだろうが。



「…………」



 できるか。そんなこと。


 ゴルゴちゃんはバカな考えに、わずかに太い眉を動かした。


 秘密の仕事をしているゴルゴちゃんにも、イメージというものがあるのだ。


 別の白い粉の方が、まだ違和感を持たれないだろう。


 もっともあんなものに、ゴルゴちゃんは興味ないが。


 王将のマジックパウダーの方がよほど価値がある、と思っている──。


 そんなことを考えながら食事を進め、最後に唐揚げの皿にそえられていた、キャベツの千切りをまとめて口の中に放り込んだ。


 肉と脂で重くなっていた舌が、リフレッシュする。



「…………ふーーー」



 そして冷えた水を一気に飲めば、完食だった。 


 やがてゴルゴちゃんは腰を上げる。


 この後──大阪から移動する予定だった。


 ここはあくまで中継地だ。


 得られた情報で裏が取れた今、標的を狙いに、さっさと現地入りするのが得策だった。


 王将の天津飯のように、仕事が速いのが一流のプロなのだから。


 次の目的地は大阪の隣にある「奈良」だった。


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