ゴルゴちゃん13才、餃子の王将に行く。9



 焼きめしのセットにしてもよかったのだが、ゴルゴちゃんは天津飯の方が好きだった。


 できあがる速さが違う。


 天津飯は、おそらく王将最速の一品だ。


 焼きめしと違い、ご飯を炒める必要がないからだろう。


 白ご飯を盛りつけて、そこにふわとろ卵がのせられて、たっぷりの甘酢あんをかけるだけ。


 なんとシンプルなのだろう──!


 熟練の調理スタッフならば、一分とかからず完成させるという。


 まさにプロの仕事の極みだった。



「お待たせしました、こちらお先に天津飯です!」



 そんなことを考えているうちに、もう天津飯がゴルゴちゃんの前に運ばれてくる。


 やはり、すばらしく速い。



「…………」



 そして案の定、餃子は焼くのに時間がかかるようで、到着しない。


 それともう一つ、セットについてくるのは鶏の唐揚げだった。


 こちらも油で揚げる手間があるぶん、遅れそうだ。


 だからゴルゴちゃんは熱々のうちに、天津飯からいただくことにする。


 ──しかし。



「…………?」



 ゴルゴちゃんの鋭い感覚が、違和感を覚えていた。


 いつも東京で食べている天津飯と、なにかが決定的に違うのだ。


 それは「色」だ。



「…………!」



 皿の上でまあるく盛り上がった、ふわふわの卵。


 その黄色が、見知った色よりはっきりしていた。


 これはいったい?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る