ゴルゴちゃん13才、餃子の王将に行く。5
通天閣の足元は、そのまま通り抜けられるようになっている。
その真下で大きな通りが十字に交差し、少し広い空間となっていた。
そこで何人かが通天閣を見上げていた。
ゴルゴちゃんと情報屋もその中に混じる。
通天閣の展望台入り口は、十字路の四隅に踏ん張った、塔の巨大な足にはない。
その真横に、上へと昇るエレベーターがあるだけの建物がわざわざつくられていた。
何人かの観光客がそこに向かっていくが、ゴルゴちゃんと情報屋には関係ない。
「久しぶりやなあ、東郷はん」
関西弁で情報屋が、ゴルゴちゃんだけに聞こえる小声で話しかけた。
が、ゴルゴちゃんは無駄話はしない。
「…………」
「そうやった、欲しいのは情報やな。今回、相手が悪いで。なにせあれだけの『白い粉』を扱ってる連中の、ボスやからな」
「…………」
「ここはもう、大阪観光だけして帰ったらええんちゃうか? ……ってなわけにはいかんわな、あんさんは」
ゴルゴちゃんに対して、実際に会えば向こうは無駄口が多かった。
しかしそれをゴルゴちゃんが許すのは、集めた情報に間違いがないからだ。
「白い粉、か……」
それは依頼人の話した内容と、合致するものだった。
恨みを買うには十分な理由だ──。
依頼に嘘がなければ、ゴルゴちゃんは淡々と仕事をこなすだけである。
「あとは、ほれ。渡しておくわ」
情報屋はそう言って、持っていたスマートフォンを足元に落とした。
ゴルゴちゃんが拾い上げ──自分のスマホとすり替える。
このために情報屋が持っていたのは、ゴルゴちゃんのものと同型のスマホだった。
中にはもちろん他の詳細な情報や、画像データが入っているのだ。
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