ゴルゴちゃん13才、餃子の王将に行く。4




 ──やがて繁華街のアーケードを抜ければ、一際賑々しい通りに出た。


 ここは身なりのまともな観光客が、大勢見られる場所だった。


 カメラや旅行雑誌を手にした外国人の姿もある。


 大きな串カツ屋がいくつも並び、派手な看板が客寄せしていた。


 ここがいわゆる新世界の中心地なのだ。


 すぐ向こうにはそびえる鋼の塔がある。


 大阪のシンボルの一つ、通天閣だ。


 昼間なのでライトアップはされていないが、広告主である『日立グループ』の名がでかでかと飾られていた。



「…………」



 ここに通天閣があると知っていたゴルゴちゃんだが、直接見たのは初めてだ。


 ほう、と立派な姿に感心する。


 あのてっぺんにある展望台に立てば、標的を狙うには絶好のポジションが取れるか?


 そんなことをつい思ったのだ。


 くだらない職業病である。


 そのとき──。



「…………!」



 ゴルゴちゃんはある気配を察知する。


 それは通りを歩く、観光客の一人から発せられたものだ。


 地味なシャツを着て、カメラを片手にうろついているが──わずかにゴルゴちゃんに視線を向ける。


 彼が情報屋だった。


 そのまま情報屋は、通天閣の方へと向かっていく。


 だからゴルゴちゃんも自然な足取りで、彼の後を追いかけた。

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