ゴルゴちゃん13才、餃子の王将に行く。2



「…………」



 しかしゴルゴちゃんは、応える代わりに沈黙を返した。


 それで十分だ。



《新世界で会おう》



 ぷつっ。


 それだけ告げて、電話は切れた。


 新世界とは、隠語ではない。


 大阪には実際、そう呼ばれる繁華街がある。


 有名な「通天閣」のある、観光スポットの通称だった。



「……ミナミか」



 ゴルゴちゃんはスマホをポケットにねじ込むと、さっさと移動を開始した。


 大阪は大きく「キタ」と「ミナミ」に分けて呼ばれることがある。


 新大阪はキタである、大阪の北側に存在し──新世界はミナミの、いわゆる南側にあるのだ。


 すでにゴルゴちゃんの頭には、大阪の地理がきちんと入っていた。


 プロとしては当たり前のことである。


 この新大阪駅から新世界へは、地下鉄を使えば乗り換えなしで行けるはずだ。


 そのことも踏まえて、情報屋は落ち合う場所を指定してきたのだろう。


 ──ホームから階段を使って降りれば、地下鉄の駅と繋がる改札口への矢印がすぐわかった。


 ゴルゴちゃんは人混みを避けながら改札を出て、やがて地下鉄の自動改札を発見する。


 赤いラインの入った案内で示される、「御堂筋線」の新大阪駅だった。

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