ゴルゴちゃん13才、新幹線のぞみ号に乗る。9


 なるほど、牛丼なのに千円を超えるはずである。


 いいやむしろ、これだけの肉を使っているのなら安いかもしれない。


 二口目は、肉の下に隠れていた白ご飯と一緒に食べてみた。



「…………!」



 うまい。


 甘い。肉が、米が。


 いや、素材の甘さを引き立たせるように、ちゃんとした味付けがされているのだ。


 東京の味付けは、よくくどいと言われることがある。


 出汁文化の関西に比べて、江戸っ子がはっきりとした甘さや辛さを好んだせいだろう。


 しかし──そのぶん、とりわけ甘辛い味付けに関しては、絶妙な「深さ」を出してくることがある。


 この浅草今半の受け継いできた味が、まさにそれだった。


 老舗恐るべしである。



「…………!!」



 また、グリーンピースもけっして彩りだけの存在ではない。


 ほくほくとした食感が、いいアクセントになっていた。


 それにタマネギも、しゃきしゃきとしていていくらでも食べられる。


 だが、驚くのはその中に紛れ込んでいた「豆腐」だった。


 タマネギと同じ色合いだったので、最初は気付かなかったのだが、これは焼き豆腐だ。


 もちろん普段、牛丼には使われないものだが、すき焼きでは当たり前に存在するもの。


 うん。


 ゴルゴちゃんは頷くしかない。


 甘辛い味が染み込んでいて、文句のつけようのない豊かな味だった。


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