ゴルゴちゃん13才、新幹線のぞみ号に乗る。8



 とにもかくにも食べてみよう。



「…………」



 ゴルゴちゃんは透明なフタも外して、ついに百年牛丼と直接対面する。


 ふうわり。


 ──いい香りだ。


 しかし、どこかで嗅いだことのある種類の匂いだった。


 これはもしや、すき焼きか?



「…………フ」



 なるほど、とゴルゴちゃんは理解する。


 どうやら浅草今半の牛丼とは、すき焼きの味付けをベースにしたものなのだろう。


 そう見抜きながら、まずは割り箸でお肉を持ち上げて──。



「…………!?」



 その感触に、ゴルゴちゃんはまず驚愕した。


 薄い。


 薄いのだ。この肉は!


 まさに、牛丼用のものではなく──すき焼きで使用する類の肉だった。


 まさかこれは。


 ぱくり。



「……~~~~~~!!」



 ああ。


 ああああ。


 あああああああ。


 溶けた。


 口の中で肉が、消えてなくなった!



「……和牛、か」



 ゴルゴちゃんは唸るしかない。


 あまりにも上等な、本物の和牛を使った牛丼だった。


 これが百年牛丼なのである!

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