ゴルゴちゃん13才、新幹線のぞみ号に乗る。7


 そして、ついにそのときがきた。



《今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます》



 車内アナウンスが流れ、次の目的地が「名古屋」であることを知らせる。


 横浜から名古屋まではかなりの距離があり、その間新幹線はひたすら静かに走るのみだ。


 ついにゴルゴちゃんの、昼食タイムが来たのである!



「…………」



 がさがさ、ごそごそ。


 ゴルゴちゃんは紙袋を膝に置き、まずはペットボトルを取り出した。


 前の座席の背もたれからテーブルを引き出して、丸いくぼみにペットボトルを配置する。


 それから、ついに牛丼弁当を鎮座させた。


 ──赤いパッケージのお弁当だ。


 水のペットボトルと一緒にしていたが、まだ十分にあたたかい。


 付属していた割り箸とお手ふきも並べて、いざ──ゴルゴちゃんは赤いパッケージを破いた。


 その下から現れたのは、透明なフタだった。



「…………!」



 百年牛丼弁当の全貌がそこにあった。


 肉。肉。肉。


 ご飯の上に敷き詰められた薄切り肉の海に、鮮やかなグリーンピースが散りばめられている。


 牛丼にしては珍しい組み合わせだ。


 さらに、普通は肉と一緒にいるはずのタマネギは、別にそえられていた。


 大きめに切られていて、ちゃんと形を残しているものの、ほんのり色づいていた。


 あとは香の物として、これは「ガリ」か?


 百年牛丼。


 どうやらやはり、普通の牛丼ではないようだった。


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