ゴルゴちゃん13才、新幹線のぞみ号に乗る。2


 このグランルーフ地下は、くねくねと曲がる一本の通路にそって、高級志向の店が左右に並んでいた。


 おかげでここを通る人の数は、ほっぺタウンに比べると圧倒的に少なかった。


 抜け道も少なく、「ここで食べよう」と思う者以外は立ち入ることがないのだ。


 それはゴルゴちゃんにとって、とても助かる。


 だが一介の中学生が一人で立ち入れるような店は、ここにはなかった。



「…………」



 それでもゴルゴちゃんは、ある店に目星を付けていたのだ。


 足を向けたのは通路の、ずっと奥──あった!


 シックな外観に、菱形に「牛」の絵柄の入ったのれんがかかっている。


 かなりこぢんまりとしているが、ここはすき焼き、しゃぶしゃぶの老舗『浅草今半』の東京駅グランフール店である。




『ランチメニュー すき焼き 昼膳 ¥3,024』



『ランチメニュー しゃぶしゃぶ 昼膳 ¥3,024』




 表には看板が出ていて、お得なランチでさえ三千円していた。




『百年牛丼 赤出汁 香の物 ¥1,620』




 一番安い牛丼でさえ、大した値段だ。


 さすがは名店といったところだろう。


 それでも、ゴルゴちゃんは見逃さない。




『お持ちかえり弁当』



 その文字が、のれんのかかった入り口脇にある、お弁当専用の受付窓口に掲げられていたのを。


 そう、ここでは持ち帰り用の弁当が買えるのだ!


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