ゴルゴちゃん13才、ゴディバに行く。10



 甘いが、甘いだけではない。


 甘さの中にも、飽きさせない組み立てがある。


 それがゴディバの手がけた、チョコレート仕立てのドリンクの正体だった。


 大満足だ。


 ことり。


 ゴルゴちゃんは一気に飲み干したカップを、テーブルに戻した。


 しかしあまりのうまさに、うっかり失念していたことがある。



「…………!」



 しまった。


 ゴルゴちゃんは今になって、開けるつもりだった紙袋の中身を思い出す。


 ドリンクと一緒に食べるはずだった、トリュフチョコレートである。


 だがショコリキサーのおかげで、すっかりゴルゴちゃんはチョコレートを堪能してしまった。


 今更ここに、チョコを追加するのも野暮だろう。



「…………」



 このまま持ち帰って、また食べればいい。


 ゴルゴちゃんは気持ちを切り替え、席を離れることにした。


 飲み干したカップをフードコートのゴミ箱に捨てて、ガンケースと紙袋を手に、帰路に就く。


 その臓腑に、甘いチョコレートのぬくもりを抱いたまま──。




 もっとも「GODIVA」と書かれた手提げの紙袋を持っていたところを、どうやら学校の女子生徒に見られたらしい。


 おかげで「誰にあげるのだろう?」と女子たちが密かに盛り上がったのだが──やっぱりそんなことは知らないゴルゴちゃんだった。

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