ゴルゴちゃん13才、ゴディバに行く。8



 中身をきちんと確認した後、ゴルゴちゃんはフタをし直した。


 これ以上ドリンクが冷めるのは得策ではない。


 フタにはそのまま飲めるよう、口を付ける箇所にだけちゃんと穴が空いていた。


 そこからゴルゴちゃんはぐびりと一口、ホットショコリキサーを飲んだ。



「…………っ!」



 ああ。


 あああ。


 甘い──。


 チョコレートだ。


 それもダークチョコレートの名に恥じない、しっかりとした苦みのある、いいカカオの風味だった。


 しばらくうろついていたせいもあるだろう。温度が熱すぎることなく、喉をゆるく通っていく。


 至福の甘さが、ゴルゴちゃんをあたたかく満たしていった。


 これはすごい。


 ガツンと脳が痺れるほど甘いのに、すぐに二口目が欲しくなった。


 ごくり。


 ごくり。


 二口、三口と止まらない。


 意外と後味がすっきりしているせいだろう。


 よくできたチョコレートドリンクだった。さすがゴディバだ。


 カカオも厳選されたものを使っているのだろう。


 鼻を抜けるチョコの香りに、どこか気品があった。



「…………?」



 しかし、キャラメル味がまったくしない。


 いったいどこに隠されているのだろうか。

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