ゴルゴちゃん13才、ゴディバに行く。1


 ゴルゴタ丘中学は、カトリック系の女子校だ。


 そこに通うゴルゴちゃんの周りにいるのも、当然女子ばかりである。


 そして二月のこの時期、校内全体にそわそわとした空気が流れていた。


 言わずと知れた「バレンタイン」の季節なのだ。


 校内に男子生徒はいないが、むしろそれが乙女たちを燃え上がらせるらしい。


 数少ない若い男性教諭に人気が集中したり、誰かの兄や弟を狙って配る、といった計画があちこちで持ち上がる。


 また女子の先輩と後輩の間でも、チョコのやり取りがあるようだった。


 まったくマメなことである。



「…………」



 しかしそんな周囲の盛り上がりは、ゴルゴちゃんには関係がなかった。


 ゴルゴちゃんにチョコを配るような相手はいない。


 そもそも親しい友人自体、一人もいないのだ。


 授業でグループをつくらされることはたまにあるが、それ以上誰かと馴れ合う気はない。


 ──野生の一匹狼が、飼い犬の群と一緒に暮らせないのと同じ理由だ。


 見た目だけは同じ制服に袖を通しているものの、中身が違う。


 だから今日も放課後、学生鞄兼用のガンケースを担いで、クールに一人で下校するのだった。




 もっともそんな孤高っぷりが、密かに女子たちの中で憧れの対象になっていることを、ゴルゴちゃんは知らないのだが──。


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